経済協力開発機構(OECD)の玉木林太郎事務次長(前財務官)は2日、ロイターのインタビューに応じ、深刻化する欧州債務問題の解決には欧州中央銀行(ECB)の積極的な行動と財政統合を目指す欧州連合(EU)の決断が不可欠だとの認識を示した。ECBによる国債買い入れについても、危機の時にモラルハザードとは言えないと指摘。もはや欧州の政治的なリーダーシップの問題だと語り、ユーロ圏共同債やECBの一段の介入に反対しているドイツに対しては一定の方針転換を求めた。

インタビューの概要は以下の通り。

──OECDが28日に発表したエコノミック・アウトルックでは、下方リスクが顕在化すれば2012年には日米欧はマイナス経済に転落する見通し。その可能性は。

「アウトルックは、普通の経済状況であればいわゆる経済見通しだが、今回は数字そのものより何をなすべきかに焦点が当たっている。どのような政策対応をすれば、最悪のケースから抜け出て、今の状況で望める良いシナリオに移行できるかに注目すべきという性格のものになっている。その意味で短期的な措置として、ECBのより大規模な介入と各国政府が中期的なコミットメントをすることが政策として期待されることとして挙げている。それらをぜひ実行すべきとのメッセージだ。ECB(理事会)と、12月8日、9日に開かれるEU首脳会議がどういう結論を出してくるか、今まさに、皆が固唾を呑む展開になっている」

──日米欧の主要な中央銀行が外貨融通の拡充で合意した。評価は。

「これは先進国中銀間のセーフティーネットとして非常に良く機能する。必ずやらなければならないことで歓迎以外の何ものでもない。しかし、流動性を供給して困難を感じている銀行を救うのはいいが、それをしたからといって問題の解決になるわけではない。本当にやらなければならないのは、ECBの行動と財政面での統合を目指すEUの決断だ」

──ECBがさらに国債を購入することになれば、中銀の信認が揺らぎ将来のインフレを引き起こすとの慎重意見がある。反対するドイツとどう折り合いをつけ、解決策は導くことができるか。

「危機が起きて、通貨体系の基礎にある自国通貨建て国債市場が崩壊しそうになった時に、中央銀行がそれを支えること自体はモラルハザードだとは言わない。それほど今は危機的状況だ」
「実際買うか買わないか別にして、ECB自体が買える権限という意味では普通の中央銀行ではない。ECBは財政支援をしてはいけないという条約のもとに設立され、資本ベースも極めて限定されている。各国の財政の寄せ集めでできた銀行で、いわゆる『最後の貸し手』としての機能は限られていると理解している」

「ECBのより積極的な行動と財政統合に向けた財政規律の制度的強化、いずれも、ドイツが一定の方針転換しなければできないことは明らかで、ドイツが正しい判断をしてくれること(を望む)。国民感情を乗り越えて、明確なメッセージを指導者が発することが今の非常事態を打開するためにはどうしても必要だ。今や、ユーロ圏の問題は、技術的な問題ではなく、極めて政治のリーダーシップの問題になっている」

「9月に日本で講演した際も、ギリシャが離脱すれば解決するんじゃないかという理解だった。日本もシートベルトを締める必要があると言ったが、大げさなという反応だった」

──パリ在住で、より危機感を肌で感じるということか。

「東京にいるより危機感は強い。当然、政策当局者の対応が目につくが、カーブを曲がり損ねて、ビハインド・ザ・カーブ(対応が後手に回る)の連続。私はユーロは絶対システムを維持すべきで、一部でも国が離脱すべきではないと信じている。ユーロは単なる制度ではなく、もはや歴史的産物だ。欧州の経済統合の行き着く必然で、欧州にとって唯一無二のものになっていることを理解してくださいと言っているが、それでもだんだん心配になってくる事態の連続だ」

──欧州の金融機関の新興国に対する与信は非常に高い。資金の引き揚げが新興国経済に与える影響は。

「もちろんネガティブだろうが、代替が円滑にいくかどうかの問題で、自動的に新興国にブレーキをかけるかどうかはわからない。考えておかなければならないのは、金融システム全体の信用収縮につながれば、新興国だけでなく先進国経済にも影響は及ぶ」

──来週のECB理事会で利下げやさらなる国債購入の決定を期待するのか。
「財政規律のシステムを作ることが大事で、まずは首脳会議サミットではないか。ECBの行動を予言するつもりはないが、定例の理事会でなくてもできる。前提条件が整わなければ基本的にできない」

──円高を含め、日本経済への影響は。

「欧州の望ましくない展開が、円相場、特に円・ドル相場に影響するかはわからない。OECDが強調したいのは、中期的な財政構造改革に対するコミットを揺るぎないものにすること。なし崩し的にしてしまうことが一番危ない。基礎的財政収支(プライマリーバランス)目標を堅持することが、当面の短期的な復興対策をやっていく過程で、『背骨』としてなければならないというのがわれわれの認識だ。(消費税増税の)筋書きなしでプライマリーバランスの回復シナリオを描く人はいない」

──日本の為替介入について国際的な理解は得られているか。

「(介入が理解されたかどうかは)不毛な議論だ。G7は介入を否定していない。われわれが合意していることは、為替の過度な変動が経済にとってマイナスだということに尽きる。為替の動きが過度に変動し、経済に影響するかどうかをまず議論すべきだ」

──欧州債務危機解決に向けて、日本がとるべきスタンスは。

「EFSF債をローンチする場合に、最初に日本政府が買う意思を表明し、大規模かつ安定した投資家としてEFSF債を購入すると(表明したこと)は、欧州での評価は高い。資本市場では新しい銘柄は皆警戒するからだ。個別の債券を買うというアプローチより、システムを安定させるためのサポートをしていることが大事だ」

「今は日本がいくら金を出すということより、まさに欧州の政治の意思、政治的なリーダーシップの問題に問題が収れんしてきている。ここで求めるべきは、欧州に指導力を期待するということに尽きる」
ギリシャで12月1日、ゼネストが行われアテネは機能マヒに陥っています。
緊縮財政に反対するゼネストですが、同時に国民は銀行を見切り始めています。

9-10月に122億ユーロ(1兆3000億円)もの現預金がギリシャの銀行から引き出されていることがECBの発表で明らかにされているのです。

ギリシャがユーロから切り離されれば、昔の通貨に戻ることになりますが、そうなれば少なくとも交換レートは3分の1以下に暴落するとみられており、そうなる前に、ユーロ現金を手にしたりドル現金に転換したり、更には他の国に口座を開設し、資産を守ろうという動きになっているのです。

ギリシャの国民がギリシャを見切り始めており、このような国にEU、ECBが資金を投入して果たして有効でしょうか?
このような疑問がIMFの中にも出てくるのは必至であり、今、金融市場は金融緩和で平穏ですが、実態悪が徐々に出てくれば、市場は実態悪を見に行きます。

日銀総裁が述べた「時間稼ぎ」が今は有効ですが、いつまでこの「時間稼ぎ」が続くか。
そう長くは続く筈がありません。
日銀が発表しました11月のマネタリーベースが一年前に比べ<+19.5%>という物凄い伸びを記録しており、日銀がドル介入をした資金を市場に放出していることが明らかになっています。

このマネタリーベースは、日銀券、貨幣流通高、日銀当座預金残高の合計(平均残)になりますが、日銀当座預金は<+99.1%>の35兆151億円、日銀紙幣は<+2.4%>の78兆9721億円、貨幣は<横ばい>の4兆5106億円となっており、、当座預金が猛烈に伸びているのが分かります。

また、季節調整済みでは<+41.2%>の121兆1916億円となっており、更に猛烈な伸びとなっています。

今、日銀は10%を超えるインフレを目指していると言っても過言ではない程の資金供給をしています。

そして今回の金融緩和で、日銀はドルを世界中にばらまくことを宣言したわけであり、この資金で世界中がヨーロッパの国債を買いまくる(利回りは低下)という図式になっています。

ECB単独では効果がなかった国債買い上げですが、日銀が10兆円単位の資金を市場に供給したことで、今は買い上げに成功しているものですが、ではこれですべてが終わったのでしょうか?

今は株でいえばPKOが発動されたものですが、このPKOで成功したためしはありません。
なぜなら、目先の「売りとめ」は出来ますが、格下げが続く中、金融機関は国債を売ることを止めないからです。

今は日銀総裁が述べた「時間稼ぎ」の間に有効な対策を打てるかどうかですが、ヨーロッパ安定化基金が事実上とん挫した今、ユーロ共同債を出すにしましても、保証する国の負担で格下げになり、このため、日本、中国、ブラジルが100兆円以上の資金拠出・保証を行い、総額で200兆円以上の債券発行となれば、ヨーロッパは救われますが、外貨準備高を事実上すべてユーロに代わる日本は、一体どうなるでしょうか?

ドル外貨準備を失った日本は格下げの直撃を受け、ドル決済が出来ない事態に追い込まれることになります。

ヨーロッパを救い、日本が没落したという笑えない事態になる恐れが出てくるのです。
『米国以外では製造業生産は2年半ぶりの大幅な縮小になった』としており、『米国の強い伸びがなければ製造業生産は一段と大きな落ち込みになっていた』との見方を示し、『ユーロ圏でも縮小がとりわけ目立ち、リセッション入りつつあるとの見方を裏付ける内容となり、英国も縮小ペースが2年ぶりの大きさとなった』

世界経済は、ウオール街から流される情報は良く解釈された内容ですが、実際には悪化の一途をたどっており、中でもヨーロッパの落ち込み方は半端なものではなく、この中で金利が上昇し債務負担が増せばヨーロッパ各国の財政破たんは避けられません。