米国の景気動向を左右する年末商戦が25日、本格的に幕開けした。
今年の商戦の売り上げは失業率の高止まりを背景に、前年比3%程度の伸びに減速する見通し。
小売り各社は低・中所得者層の消費を喚起しようと、例年にない大幅値引きや深夜営業に動いた。

商戦開始直後の今年の客足は前年比で1割増と昨年を上回る見通し。滑り出しの勢いが持続するかがカギを握る。

米ニュージャージー州にあるディスカウント最大手ウォルマート・ストアーズ。
商戦の目玉に据えた船井電機の19型液晶ハイビジョンテレビに98ドル(約7600円)の値がついた。

主婦スヘ・ローマンさん(25)は「破格の値段」と興奮し、まず98ドルテレビをわしづかみ。
山積みの商品は瞬く間になくなった。

家電量販店ベストバイではシャープの42型液晶テレビが199.99ドル(約1万5500円)で出るなど、
今年はテレビ、ゲーム機などの価格下落が顕著。値引き率の高い店舗は半日~1日前から行列ができた。

買い物客の争いでロサンゼルスでは20人以上が負傷。人混みをかき分けようとした客が催涙スプレーを使うなどの混乱もあった。

米国では通常、11月下旬の感謝祭翌日の金曜日(今年は25日)から12月25日のクリスマスまでが年末商戦とされる。
商戦開始の金曜日は小売店が黒字なることにちなみ「ブラック・フライデー」と呼ばれる。
米国は国内総生産(GDP)の7割を消費で構成するが、なかでも年末商戦は小売り各社の年間売上高の約2割を占める。

今年は前日の24日夜から前倒しで一部セールが始まった。業界団体の全米小売業協会(NRF)によると、
年末商戦の売り上げ予測は前年比2.8%増。金融危機の反動で大幅に伸びた昨年の同5.2%増(改定値)と比べて減速する見通しだ。
失業率の高止まりに加え、今夏以降の株式市場低迷による消費者心理の悪化が、伸び悩み予測の背景にある。

危機感を持った小売り各社は深夜営業や値崩れ覚悟の大幅値引きなどの消費喚起策に打って出た。
NRFは25日からの3日間で前年比約1割増の約1億5200万人の買い物客を見込む。

前の年の3%増から大幅に増える。各社の消費喚起策により、予測を覆す売り上げとなる可能性も指摘され始めた。

注目点は大型セールに足を運ばない富裕層の動向。富裕層が好む高級品はクリスマス直前に売れる傾向がある。
小売業界のアナリストは年末商戦の成否について「クリスマス直前の動きまでみる必要がある」と慎重な見方をしている。