確認されたものでは2005年以来最大となる活動領域が、太陽の自転に伴い、地球と対面する
太陽表面の中心部に移動してきた。現在の位置から電磁波が放出されれば、地球を直撃する。

 活動領域(AR)1339と呼ばれるこの磁気活動域は当初、太陽の北西部の端を観測しようとした
人工衛星により発見された。さらに11月第1週に入り、地球上に設置された天体望遠鏡でもその
巨大さが確認できるようになった。

 観測により、これは標準的な黒点ではなく、巨大な黒点の集まりであることが明らかになった。
中には地球1個分をも上回る大きさを持つものもある。実際、AR 1339は地球からでも肉眼での
観察が理論的には可能なほどの大きさだ。

「肉眼観察が可能なレベルの大きさの黒点が発生することはあまりない」と、スタンフォード
大学のフィリップ・H・シェラー教授は語る。一方で同教授は、太陽を肉眼で直接観察することは
非常に危険なので絶対にやってはいけないと注意を促した。観測の際、光学機器には必ず太陽観察
専用フィルターを装着する。もしくはピンホール投影など、間接的に太陽を観察する方法もある。

 11月3日には、AR 1339は最もX線の強度が強いとされる「Xクラス」のフレアを何度か発生
させたが、これは地球を直撃することはなかった。その後AR 1339は比較的静かな状態を保って
いる。しかし今後数日間は地球に直面する位置にとどまる見込みで、いつ何時さらなるフレアを
放ってもおかしくない。

◆巨大黒点がオーロラの活動を活発に?

 黒点は太陽表面の磁気活動が活発な領域で、周囲の平均温度が摂氏約5500度なのに対し黒点は
約3300度と、比較的低温であるため暗く見える。

 AR 1399を構成する黒点には地球と同程度の大きさのものも多く、黒点群全体では地球直径の
約17倍、木星の直径をも超える大きさだ。

 黒点は太陽フレアの最も発生しやすい場所とされ、こうした活動領域の磁場に蓄えられた
エネルギーが放出されると、これが太陽フレアとなって強烈な電磁波を太陽系内にまき散らす。

 これが地球に向かうと、噴出された太陽エネルギーが地球の磁気圏と反応し、大気中の分子に
余剰エネルギーが与えられる。するとこのエネルギーは光として放出され、オーロラが発生する。

 特に強い磁気嵐が起きると、通常より明るく、大規模なオーロラが起きる。10月24日にも
このようなケースがあり、この時はオクラホマ、ジョージア、テキサスなど、米国の南部諸州でも
オーロラの発生が報告された。

◆人工衛星、宇宙飛行士へのリスクも

 オーロラは確かに美しいが、太陽の電磁波放出はある程度のリスクも伴う。太陽フレアが放つ
X線エネルギーが、地球の大気上層部の状態に変化を及ぼして通信衛星の機能を混乱させ、さらには
完全に通信不能の状態に陥れることさえある。

 加えて、電磁波の増大は民間航空のパイロットや宇宙飛行士の健康に懸念を引き起こす恐れもある。
ここには現在国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のクルーも含まれる。
万が一、大規模な太陽フレアがISSを直撃するとしても、クルーがそのことがわかるのは直撃のわずか数分前だ。その場合、ISS内の比較的電磁波保護機能の高いエリアへの待避することが、宇宙飛行士にとれる最善の防護策となるだろう。

◆地球に向かうフレアの放出はあるか

 現在の技術では太陽フレアの発生を正確に予測することは不可能だが、AR 1399が近い将来、
地球に向けてフレアを放出する可能性は否定できない。

 スタンフォード大のシェラー教授も、AR 1339は今のところ「多く(の活動)を起こして
いない」としながらも、「今でも新たな磁場が生まれつつある」と述べている。

 そしてAR 1339がこのまま何事もなく地球を直撃可能な位置から去ったとしても、今後同じ
ような位置にやってくるとみられる活動領域は、他にも数多くある。太陽は現在、約11年サイクル
の活動周期において、磁気活動がピークに達する「極大期」と呼ばれる時期に入りつつある。

 さらに、太陽活動を司るものはこの周期だけではない。黒点、フレアなどの活発な磁気活動は
いかなる時にも発生しうる。シェラー教授も、太陽表面では「常に何らかのレベルの活動が発生
している」と指摘している。