<失業率の改善はまやかしに過ぎない>
 東日本大震災から半年が過ぎ、恐れていた事態が現実になってきた。大リストラ時代の到来である。
「震災直後は、どの企業もリストラを控えていました。人員削減を打ち出したくても、それを許さない雰囲気が世間にあった。しかも震災直後は、『それほど業績が悪化しているのか』というマイナスイメージが強烈になります。ここへきて、ようやく落ち着きを取り戻してきたので、リストラに踏み切る企業が出てきたのでしょう」(東京商工リサーチ情報部の関雅史氏)
 TDKは10月31日に国内外グループで1万1000人の人員削減を明らかにした。パナソニックはテレビ事業の縮小を余儀なくされ、グループ社員1万人削減(11年度)を決断。日立電線も約650人の早期退職の募集を開始した。
 この先、雇用環境はどうなってしまうのか。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏が言う。
「9月の完全失業率は4.1%と、7月の4.7%に比べ0.6ポイントも改善しました。この数値を見る限り、雇用はそれほど悪化していないことになります。でも本当にそうなのか。震災以降、外国人労働者が日本を続々と脱出したことと関係があるかもしれません」
 日本で働く外国人労働者の数は約65万人(10年10月末、厚労省の調査)だが、放射能汚染を恐れ、震災から約3週間で47万人の外国人が日本を離れている。牛丼チェーン「吉野家」の外国人アルバイトが200人去ったという衝撃ニュースもあったほどだ。
 日本から外国人が消え、職場にポッカリと穴があいた。その穴を日本人労働者が埋めていったことで失業率が好転した可能性がある。「職場の実態と統計には半年ほどの時差がある」といわれるから、9月に失業率が好転したことも納得がいく。
 ただし外国人は日本の労働市場に戻りつつある。そこにハイパー円高やギリシャ危機、米景気減速、タイ洪水被害と悪材料が重なり企業の下方修正ラッシュが起きている。雇用環境の悪化は避けようがない。
「リストラの本番はこれからです。円高に苦しむ大手企業が次々と人員削減策を発表する恐れが高まっています」
 大幅賃金カット、大量クビ切り時代が本当に始まる。