<介入しても効果は限定的>
 円相場が連日のように戦後最高値を更新している。先週21日にNY市場で1ドル=75円78銭の最高値を付けると、25日には75円73銭、翌26日のロンドン市場では75円71銭と、またまた高値更新。安住財務相が「断固たる措置をとる」と口先介入しても、まるで効果がない。安住発言をあざ笑うかのように超円高は進んでいるのだ。
 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏が言う。
「急激な円高進行であれば、為替介入の効果が期待できます。でも今回のようにジワリジワリと進む円高は、投機筋の思惑とはほぼ無縁です。為替市場そのものがドル安(円高)に舵を切り始めたのです。それだけに、どんな形であれ介入の効果は薄いでしょう」
 政府・日銀が本気になって介入しても、その場しのぎの効果しか得られないということだ。円相場はこの先どうなるのか。
 三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏はこう読む。
「米国の要人が量的金融緩和(QE3)をにおわせたことが、ドル全面安のキッカケです。これを境に為替マーケットの主要テーマは、ユーロ危機から米国の景気問題に移行しました。本格的なドル売りのスイッチが入ったともいえます。ドル円は今後1~2週間で『70~75円のレンジ』に移るでしょう。そして早ければ年内に60円台に突入するかもしれません」
 そうなれば、冷静さを装っている株式市場も大混乱に陥りかねない。株式評論家の倉多慎之助氏は、「株式市場は1ドル=75円程度の円高は織り込み済みなので今は大暴落が起きていない」と話すが、1ドル=60円はさすがに想定外だろう。輸出企業の赤字続出は避けようがなく、株式市場は暴落に次ぐ暴落に襲われる。平均株価はリーマン・ショック後の最安値6994円を割り込む恐れも出てくる。
「1ドル=50円」の到来を口にする市場関係者も増えてきた。「輸出倍増」を指示した米オバマ政権のドル安容認の国策に、マーケットが完全に乗っかり始めたからだ。「まさか、そこまでは……」とのんきに構えていられる時代は終わった。ジワリと進行する超円高のゴールは「1ドル=50円」に違いない。