2002年、新潟で誕生した「こわれ者の祭典」。病気の体験発表&パフォーマンスイベントである。
「病気でどう苦しみ、そこからどう回復したか」をユーモアを交えたトークと、その病気に関する
パフォーマンスが魅力のイベントだ。Fonteでは「こわれ者の祭典」世話人の月乃光司さん、
名誉会長の雨宮処凛さんのお話です。
大学卒業後、就職難からうつ病になり自殺した人もいました。統計を見ると、80年代の
大卒就職率は80%を越えていたのに、2000年には55%にまで落ち込んでいます。
これだけ見ても、就職難によるうつ病は、本人の問題ではないだろう、と思うんです。
また、正社員でも「過労」や「うつ病」を抱えるケースもよく聞きます。私の弟もその一人です。
弟が正社員として就職したのは大手の電化製品販売店です。入社1年後からは、18時間労働でした。
慢性的な寝不足が続き、多忙のため一日一食しか食べられず、文字通り死ぬほど働かされてました。
私も家族も「絶対に死んでしまう」と必死に説得しましたが「せっかくの正社員だから」と辞めませんでした。
もちろん、職場環境をよくしてもらおうと弁護士や労働基準監督署に相談しましたが
それもダメでした。結局、説得によって退職させましたが、弟の給料を時給換算にすると700円でした。
会社は、ただバイト以下の賃金で働く人間がほしかっただけです。
知れば知るほど、同世代の人たちがどんどんボロボロにされていく状況が見えてきたわけです。
――なぜ雇用は不安定化したのでしょうか?
経営者や国は20年以上前から、いまの状況を予測していました。1985年の経済企画庁
総合計画報告では「団塊二世の新規採用が難しくなる」ことを指摘し、95年の経団連の報告では、
あらたな雇用形態として「雇用柔軟型」、つまり「使い捨て雇用」を進めていくことを提案しています。
派遣は、85年に、労働者派遣法が成立し、それまでは禁止されていた派遣労働が、16業種に
限定して認められました。その後、99年に業種の原則自由化と、どんどん規制が緩和されています
さらに03年には製造業も解禁しました。製造業が解禁されれば、当然「ネットカフェ難民」が生まれます。
製造業者は全国各地、とくに地方に工場を持っており、そこに派遣の若者を呼び集めて、
低賃金で働かせます。求人広告では月収30万円以上と銘打たれていますが、実際には手取りで
12、3万がほとんどです。それでいきなり「あと三日で終わり、寮も出ていって」と言われる。
金銭的な担保が吸い取られ、肉親にフォローしてもらえなければ、見知らぬ土地でネットカフェ難民に
なるしかありません。国が法律を変えて、ネットカフェ難民を生んだんです。
先日も7年間“難民生活”をしている人の話を聞きました。彼の月給は8万円、ネットカフェに泊まれず、
一日中歩いて過ごした日もあったそうです。彼が派遣登録していたのが、大手派遣業者です。
この派遣業者で、働くために登録をするとIDカードが配られるんですが、このIDカードは
クレジットカード兼用です。使い捨ててその結果、サラ金による借金も前提だということがよくわかると思います。
不安定な雇用につけ込んで、サラ金や家賃1日滞納ですぐに追い出される敷金礼金ゼロ物件といった
「貧困ビジネス」も拡大しています。もう一歩外に出れば、なんの餌食になるかわかりません。
それでもなお、若者が食っていけないのは「自己責任だ」という声が強いわけです。小泉以降、
「全部が自己責任、失敗したら餓死すればいい」という考えが蔓延しました。その結果、誰も幸せに
なっていないですよ。大企業の経営陣も追いつめられているからこそ、非人道的な経営ができるわけです。
社会全体が寄せ場化し、厳しさゆえに正社員がフリーターを差別し、フリーターはニート、ひきこもりを差別する。
日本全体が殺伐としてきたように思えます