ドイツは17日、今週末に開かれる欧州連合(EU)首脳会議で抜本的なソブリン債危機対策が示されることはないとの見方を示し、市場の過度な期待をけん制した。
ショイブレ独財務相は、欧州政府は5項目から成る危機対策を検討するとしたが、「抜本的な解決策」が打ち出されることはないとの見方を示した。その中には欧州銀の資本増強や民間投資家の損失負担拡大を通じたギリシャ債務削減などが含まれる見通しという。
また独政府のザイベルト報道官は、国内銀の対ギリシャ追加支援関与やEFSFを最大限活用する方法について「集中的に」検討しているとしたが、EU首脳会議で最終的な解決策がまとまるとの期待は非現実的と言明した。
「メルケル首相は、この包括的な策により、すべてが月曜日までに解決されるとの夢は現実のものにはならないとの考えを示している」とし、「こうした措置は、来年まで続く長い道のりにおける重要な段階で、その後にもさらなる措置が続く」との見方を示した。
ユーロはこの日、対ドル<EUR=>で1カ月ぶり高値をつけていたが、発言を嫌気し1%下落した。欧州株式市場<.FTEU3>も当初の上昇を維持しきれず、反落して取引を終えた。
ユーロ圏首脳はギリシャ債務負担の軽減に向け、最大50%の「自発的な」債務元本の減免を受け入れるよう民間投資家の説得を急いでいるほか、銀行の資本増強計画に関する青写真についても合意を目指している。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバルストラテジスト、ダン・ドリス氏は「債務元本の減免率や銀行の資本増強に向けた資金源に関して、EUは自ら設定した期限ギリギリまで厳しい交渉を余儀なくされる」とし、「解決策が見出されると引き続き楽観しているが、投資家の想定以上に詳細案の策定で時間を要すれば、失望を招く恐れがある」との見方を示した。
<金融機関に残された選択肢はわずか>
国際金融協会(IIF)のダラーラ専務理事は同日、ギリシャ国債を保有する民間投資家は、欧州債務危機の包括的解決策の一環としてのみ、損失負担の拡大について協議する方針と明らかにした。
専務理事はロイターに対し「ギリシャ支援への関与について、当局が民間セクターに再検討を要請することに関心があるとすれば、欧州債務問題全体に対する包括的対応の一環としてのみ行われるべき」と述べた。
銀行関係者はギリシャ問題の解決だけでは不十分とみており、ユーロ圏全体の問題に対処するよう当局に求めている。
解決策の1つとして、欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)のレバレッジ活用案が浮上しているが、ドイツをはじめとする北欧諸国が同意するかどうか不透明な情勢だ。
EU当局者は、政府が要請する自発的な損失を民間銀行は負担せざるを得ないと指摘している。それ以外には無秩序なデフォルト(債務不履行)しか残された道はなく、そうなれば金融市場の破滅的な混乱と一段の損失負担を余儀なくされるのが確実なためだ。
欧州財務相は首脳会議に備え、21日に会合を開く。関係筋によると、財務相は、域内金融機関に対する投資家の信頼感を回復させるための方策として、3項目を柱とした包括案を検討する見通し。
具体的には、域内金融機関に求める狭義の中核的自己資本(コアTier1)の基本最低比率を7月ストレステスト(健全性審査)時の5%から大幅に引き上げる、2)問題のあるユーロ圏ソブリン債へのエクスポージャーを抱える金融機関を対象に、新たな最低自己資本比率の達成に加え、さらに一時的な資本上乗せを義務付ける、3)国による保証も含め、十分なターム物資金の確保を求めることが検討されるという。
独仏銀行大手は、強制的な資本増強に反対する立場を示しているが、ペクレス仏政府報道官はRMCラジオに対し「フランスの銀行は、健全であっても、資本増強を実施することになる。なぜなら信頼感が欠如しているとともに、懸念が極めて強くかつ緊張が非常に高まった状況にあり、すべての銀行の資本を強化する必要がある」と述べた。
その上で「欧州全体での協調対応へと向かっている」とし、「「リスクにしっかりと対処できるよう、欧州の全ての銀行に2013年までに9%の自己資本を確保するよう求める」との考えを示した。
EU当局者はこれまで、銀行に対し3─6カ月以内の資本増強完了を求める可能性に言及しており、ペクレス報道官の発言はそれよりも大幅な時間的猶予を与えた格好となる。
<英財務相、独財務相に債務危機対策の推進要請へ>
オズボーン英財務相は17日、この日行う英独財務相会談について、ショイブレ独財務相にユーロ圏債務危機の解決に向けた努力を引き続き求めると述べた。 オズボーン財務相は「カンヌ(G20首脳会議)へのカウントダウンは続いている。ユーロ圏債務危機が解決されれば、世界経済、英国経済にとって最大の成長押し上げ要因になるだろう。その方向に向けた勢いを維持することが、きょうの会談の焦点となる」と述べた。
<ムーディーズ、フランスの格付け見通し修正を警告>
格付け機関のムーディーズは17日、フランスが財政・経済改革を進めることができなければ、同国の格付け見通しを今後3カ月以内に「ネガティブ」に修正する可能性があると明らかにした。 フランスの格付けは「Aaa」。
格付け見通しの見直しは、金融市場や経済の動向が悪化する可能性も考慮して行うという。 ムーディーズは声明の中で「債務関連指標の悪化や偶発債務がさらに生じる可能性が『安定的』としている格付け見通しを圧迫している」と述べた。
23日のEU首脳会議で、ユーロ圏の債務危機解決に向け最終的な解決策がまとまるとの期待は非現実的であつり、、メルケル首相は、この包括的な策により、全てが月曜日までに解決されるとの「夢」は現実なものにはならず、こうした措置は来年まで続く長い道のりにおける重要な段階で、その後も更なる措置が続く3段階破たんシナリオは前倒しになることになります。
10月に第一次危機が起こり、11月にヨーロッパのメガバンクが破たんし、12月に最終的な金融崩壊が市場を襲うというシナリオが「前倒し」されるようになります。
ファンド側の"接待攻勢"の甲斐なく、解約急増となれば、月末に向けて全ての金融商品は売られることになります。23日の首脳会議もあわせ、金融市場に次第に緊張が高まってきています。