東京大学大気海洋研究所の高薮縁教授らの研究グループが、世界の気象関係機関が開発した
コンピューターシミュレーション「気候モデル」を用いて、地球温暖化に伴う日本の気象現象について
将来予測をまとめた。それによると、100年後には梅雨が長引き、春と夏の間に季節として
「雨期」ができたり、台風の日本上陸数が減少するといった大胆な予測となっている。
14日に東大安田講堂(東京都文京区本郷)で開かれる環境省主催のシンポジウムで発表される。

気候モデルは、大気、海洋、陸面など気候を形成する要素を数値化し、コンピューターで計算するシステムで、
各国の気象庁や大学などの研究機関が開発を進めている。研究には東大のほか、北海道大や筑波大、
気象研究所などが参加した。日本を含め12カ国の気候モデル24個について、過去約20~100年間の
観測結果を基に検証。再現性の高かったモデルを用いて温暖化に伴って身近な気象現象が100年後、
どのように変化するかを予測した。

梅雨明けについては、現状の偏西風の典型的な動きを示す気候モデルを用いて予測した結果、
「偏西風の北上は弱まり、東日本では7月中旬でも降水量は減らない」となった。100年後には梅雨明けが遅れ、
夏の期間を短縮させる形で「雨期」となるという。

一方、時には甚大な被害を出す台風の発生場所を現在と比較すると、南シナ海やフィリピン、
台湾近海で減少し、東寄りに移るとの予測も出た。東寄りに発生した台風の多くは日本の東海上を北上するため、
将来も経路が変わらなければ上陸数は減少するという。ただ、高薮教授は「台風のコースも
温暖化の影響で変わるかもしれない。上陸数については継続した研究が必要」としている。

季節ごとに特徴的な風では、春の到来を告げる暖かい南寄りの強い風「春一番」は現在よりも早まり、
立春(2月4日)直後に吹く確率が高まる。夏の東北地方に吹き込み、コメの生育に悪影響を及ぼす
冷たく湿った風「やませ」は、8月に増加するという。