バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は4日、米経済は「失速寸前にある」との認識を示し、景気支援に向け追加措置を講じる用意があると言明した。上下両院合同経済委員会での証言で述べた。
 また米連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ圧力が非常に制御された状況にあると判断していると説明。高失業の状況を踏まえ、9月に続き、一段の金融緩和を講じる用意があるとの考えを示した。 
 議長は「経済動向を引き続き注意深く監視するとともに、物価安定の下で、一段と力強い景気回復を促進するため、必要に応じて追加措置を講じる用意がある(prepared to take further action as appropriate)」と語った。
 米経済については「失速寸前にある(close to faltering)」とこれまでで最も暗い見方を示すとともに、追加支援については「必要に応じて手段を講じる用意がある(prepared to employ its tools as appropriate)」としていた前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明よりも表現を強めた。
 前回のFOMC以降、欧州ソブリン危機をめぐる不透明感が米企業や消費者の信頼感を損なっており、成長の下押し要因となっている。
 議長は、欧州の金融をとりまく緊張は米経済成長にとって「継続中のリスク」とし、すでに家計や企業心理に悪影響を及ぼしていると分析した。
 ただQE3(量的緩和第3弾)の可能性について問われると「経済見通しが不確かなため、どの選択肢も排除していない。それを実施する差し迫った計画はない」と答え、明言を避けた。
 8月は弱い指標が相次いだが最近の経済指標はまだら模様だ。一部では製造業が予想外の改善を示す内容となったが、再び落ち込む懸念が払しょくされたわけではない。
 議長は「新規失業保険申請件数や企業の雇用計画調査など、最近の経済指標は、今後も雇用者数の伸びが一段と低迷する可能性を示唆している」との見方を示した。
 一方で議長は、ぜい弱な雇用、信頼感の低迷、欧州に起因する金融リスクに言及し、短期的には過度に急激な歳出削減を行わないよう議会に求めた。
 財政健全化は、米成長の著しい足かせになる可能性が高いとし、「進行中の景気回復を阻害する恐れのある財政措置を回避することが重要目標だ」と主張した。
 また今年に入ってからのインフレ高進は経済に根付いていないとも強調。物価圧力は予見し得る将来、引き続き抑制される見通しと語った。
 9月に実施を表明した「ツイストオペ」については、長期金利をおよそ20ベーシスポイント(bp)押し下げるとの見方を示し、これはフェデラルファンド(FF)金利の50bp低下にほぼ匹敵すると述べた。
 「われわれはこれを意義深いと考えているが、経済への著しい支援になるとは思っていない。一定の追加金融緩和をもたらし、雇用創出および成長を幾分支援すると考えている。 米経済は現在失速寸前にあるため、これは特に重要だ」とし、「われわれは回復が継続し後戻りしないよう、また失業率が継続的に低下するよう確実にする必要がある」と述べた。
 共和党議員は、FRBが完全雇用と物価安定の2つの責務を抱えることは、インフレに関して妥協を余儀なくされることを意味するのかと議長に迫った。
 これに対し議長は、FRBは近年の物価安定をもたらしたとしてこれを強く否定し、インフレ率は議長の就任期間中、平均で2%で推移していると指摘した。
 また金融危機を招いた原因は過度な低金利でなく、規制上の不備と主張した。
 FRBは2008年の金融危機発生以降、事実上のゼロ金利政策を導入し、債券購入を通じて、バランスシートを過去最大となる2兆9000億ドルに拡大した。
 議長はこれら一連の措置について、米金融業界の救済ではなく、物価および金融安定というFRBの責務の一環との考えを示した。