東京電力福島第1原子力発電所の事故で飛散したとみられる微量のプルトニウムが同原発から45キロメートル離れた地点で検出されたことがわかった。文部科学省が先月30日、発表した。今回の事故によるプルトニウムが原発敷地外で検出されたのは初めて。

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Associated Press
被ばく検査を受ける女児(3月、福島県飯館村)
 また、原発から約80キロ離れた地点でストロンチウムが検出されたことも明らかになった。これまで原発周辺で検出された放射性物質は主にセシウムとヨウ素だった。

 文科省は今年6月から7月にかけて原発から80キロ圏内の100カ所で土壌を採取、分析した。

 文科省はプルトニウムとストロンチウムについて、最高値が検出された地点に50年間滞在した場合の被ばくの積算値を計算したところ、セシウムに比べて「非常に小さいことが確認された」と述べた。今後の被ばく線量の評価や除染対策については、セシウムに着目していくことが適切だとした。

 今回の調査結果で、福島第1原発から比較的離れた地域の住民でさえ、これまで公表されてきたよりもより多くの放射性物質にさらされる場合があることが明らかになり、懸念が高まる可能性がある。

 プルトニウムとストロンチウムはセシウムやヨウ素のように強力なガンマ線を放出することはない。しかし、ストロンチウムは骨に、プルトニウムは骨と肺に蓄積される性質があり、呼吸や飲食を通じて体内に取り込まれると、がんや白血病を引き起こす可能性がある。

 プルトニウムもストロンチウムも半減期が長い。今回の調査で検出されたストロンチウム90の半減期は約29年、プルトニウム238は約88年、プルトニウム239は2万4000年超。

 発表によると、原発から飛散したとみられるプルトニウム238は6カ所の土壌から検出され、測定値は1平方メートル当たり0.55ベクレルから4.0ベクレルだった。原発から約45キロ離れた福島県飯舘村で採取した土壌からはプルトニウム238が0.82ベクレル、プルトニウム239と240が2.5ベクレル検出された。飯舘村の住民は現在、避難している。

 文科省の担当者によると、日本ではこれまでにも大気圏内核実験後にプルトニウムが検出されたことがあり、今回の調査より高い測定値が出たこともあるという。しかし、文科省は今回、6カ所で通常より高い値のプルトニウム238が検出されたことは、原発事故によるプルトニウムの飛散が原発敷地内にとどまらなかった証拠になるとみている。

 ストロンチウム89とストロンチウム90も100カ所のうち半数近くで検出された。そのうちの1カ所は調査対象となった80キロ圏ぎりぎりのところで、1平方メートル当たりの測定値はストロンチウム89が500ベクレル、ストロンチウム90は130ベクレルだった。

 国内メディアが報じた2012年度予算の概算要求によると、放射性物質を取り除く除染作業のための予算要求は約4000億円に上った。