昨夜の欧米の株式市場は大幅に悪化したが、その一つの要因に、ECBのシュタルク専務理事の辞任報道があった。ECBの国債買い入れ反対のスタンスをとっていただけに、タカ派的な勢力が抑えられ、緩和措置を採るハト派的なスタンスが強まることから、ECB内部の対立だけでなく、タカ派路線をいくドイツとの対立が深まる恐れがある。
ユーロ圏債務危機問題に対する足並みが乱れることが危惧され、株式市場は下落した格好となっている。

そんな中、G7財相・中銀総裁会議が行われたが、さしたる中身はなく、市場への牽制から声明を発表するにとどまっている。
この会議に先立って、昨日次のような報道があった。

G7に出没するリーマンの亡霊、欧州発の危機回避で協調行動も
ギリシャのデフォルト(債務不履行)観測の高まりが世界経済の最も大きな脅威を浮き彫りにする中で、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が9日開幕する。欧州の財務相らは、債務危機を食い止める努力を加速させるよう求める国際的な圧力に直面することになる。
 7カ国の財務相と中央銀行総裁らは、金融市場安定のための「協調行動」を盛り込んだ緊急声明を8月8日に発表したが、その後初めてフランスのマルセイユで一堂に会する。ソブリン債をめぐる投資家の懸念を払拭(ふっしょく)できない欧州の対応が討議の焦点になる。
  アラジン・キャピタル・マネジメントのチーフエコノミスト、コンスタンス・ハンター氏は、世界的なリセッション(景気後退)が起きるとすれば、「欧州発のはっきりした痕跡が認められるだろう」と指摘。「欧州は紛れもなく現実のリスクだ」と強調する。
 3年前のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻が引き金となった大恐慌以来で最悪のリセッションの再発防止に各国の政策担当者は躍起となっている。しかし、リスクは欧州だけにとどまらない。経済協力開発機構(OECD)は8日、主要7カ国の10-12月(第4四半期)経済成長率がユーロ圏のマイナス成長に伴い、ほぼゼロに落ち込むと予測した。
 景気の減速が世界的リセッションに発展する事態を避けるため、7カ国はいずれも同時に多方面で闘うことを余儀なくされている。各国中央銀行は金融政策の一段の緩和を示唆し、オバマ米大統領は8日、新たな雇用創出策を提案。日本も円高阻止で苦しい闘いを強いられている。だが、各国の政策金利は既に過去最低水準に引き下げられており、公的債務の拡大も未曾有の規模に達する。
             尽きる弾丸
  ルービニ・グローバル・エコノミクスのヌリエル・ルービニ会長は6日のインタビューで、「事態は悪化しつつあり、政策手段という弾丸が尽きつつあることが現在と数年前との大きな違いだ」と分析。「これらの先進国は60%の確率で再びリセッションに見舞われるだろう」と予想した。ハーバード大学のニール・ファーガソン教授は6日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「欧州でリーマン・ブラザーズの破綻に匹敵する大惨事が起きる可能性を考えると、われわれは誰も夜も寝られないはずだ」と発言。ドイツ銀行のヨゼフ・アッカーマン最高経営責任者(CEO)も5日、現在の市場環境が「08年の出来事を想起させる」と懸念を示した。
 ギリシャ国債の保証コストは8日、91%のデフォルト確率を示唆し、欧州の銀行間の貸し渋りを示す指標も今週、約2年半ぶりの水準に上昇。世界の株式市場では7月初め以降、時価総額にして約5兆ドル(約387兆円)が失われた。