欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会が30日発表した8月のユーロ圏景況感指数(ESI)は7カ月連続の低下となった。今月の株価暴落、ギリシャへの2度目の救済に対する世論の怒り、ドイツ経済の成長見通しの弱さがユーロ圏の経済の先行きへの見方に大きな打撃を与えていることが改めて浮き彫りにされた。
8月のESIは前月の103.1から低下し98.3となり、エコノミスト予想の100.5を下回った。これは2010年5月以来で最も低い水準である。欧州委員会は声明の中で、広範な業種で景況感の悪化が示され、特にサービス業や小売業、消費者の信頼感の低下が、景況感の全体的な低下につながったと指摘した。小売業の景況感は昨年3月以来最低の水準にまで悪化した。
また、8月の消費者信頼感指数は、前月のマイナス11.2からマイナス16.5に低下した。データ・サービス会社マークイットのチーフ・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏によると、これは前月比の下落幅としては1990年以来で最大だった。エコノミストらは景況感指数の低下について、個人消費と投資のペースが一層鈍化している表れである可能性が高いとみており、ギリシャやアイルランド、イタリアなどの債務問題を緩和するのに十分な経済成長がユーロ圏で達成されることはますます難しくなると思われる。ユーロ圏全体の第2四半期(4-6月)の成長率は年率換算でプラス0.7%だった。特にドイツの成長率はわずか0.5%となり、2010年と11年の第1四半期が非常に堅調だっただけに、その悪化が顕著になっている。欧州委員会によると、欧州の経済大国の中で景況感指数の低下が最も大きかったのはドイツだった。この日発表された景況感指数からは、欧州中央銀行(ECB)の経済見通しが依然として楽観的過ぎる可能性のあることが示唆された。ECBのトリシェ総裁は29日、比較的健全な経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を考えると、ユーロ圏経済は「控えめな」成長が予想されると述べた。ECBは定例理事会を来週に予定しているが、その際には金融引き締めを当分休止させることを示唆するのではないとの予想が広まっている。ECBは4月と7月に利上げを行っている。ただ、景況感の悪化にもかかわらず、エコノミストは、明らかなリセッション(景気後退)が始まっているとは考えておらず、利下げがすぐにも実施される可能性は低いとみている。一方、ECBは30日、イタリアの中長期債入札前に同国とスペインの国債を買い入れるなど、相場の下支えに努めた。ECBは8月初旬に国債買い入れプログラムを再開しており、10年債の利回りが6%を上回ったイタリアとスペインもその対象となっている。