大企業に比べて経営体力が脆弱(ぜいじゃく)な中小企業にとって、産業の空洞化は死活問題となる。
空洞化を促進する円高や電力不足問題に対し、政府に対策を求める中小企業の声は強い。
だが、現在の民主党政権に対する期待は極めて薄い実態が、中小企業アンケートで浮き彫りになった。

政府が優先的に取り組むべき政策課題(複数回答)として、51社と最も多くの中小企業が挙げたのは
「円高対策」。
景気の下押し要因として、多くの企業が円高を挙げている現状で、その対策を国に求めるのは当然と
いえる。

◆冷え切る設備投資
次いで「電力供給の安定化」が49社で続く。
電力供給不足の問題では、当初は東京・東北電力管内のみの問題とみられていたが、政府の原発対策により、
全国的な問題に拡大した。

東北・東京電力管内から電力事情を考慮して、西日本に生産拠点を移したにもかかわらず、
その“避難先”でも今後の見通しが立たなくなっている企業も出ている。
「そもそも国内は賃金、不動産価格など高いのに、電力までコストが高くなると日本で生産する意味が
ない」(運輸・通信業)という声も上がっている。

電力不足は企業の設備投資にも悪影響を及ぼす。
「電力が制限される中で製造業の工場新設は考えにくく、内需産業以外の設備投資は冷え切る。
円高よりも電力不足のほうが切実」とする製造業の声や
「電力の安定供給に不安があるのは、発展途上国と同じで、設備投資上での大きなデメリット」
(卸・小売業)と指摘する声もある。

◆埋め難いギャップ
こうした問題の解決に向け、政府への期待が大きくなりそうなところだが、現在の民主党政権に対する
評価では「どちらかといえば評価しない」「評価しない」は合わせて88%に上った。
「どちらかといえば評価する」は12%あったが、「評価する」は大手企業のアンケートと同様ゼロだった。

「政権交代時の公約を果たそうとする姿勢が見えない」(サービス業)など、
公約がほごにされている現状に対する不満が大きいが、企業としては経済政策にも不満が蓄積。
「経済社会を理解しているか疑問」「経済構造の大きな転換期に財政根拠でつまずいている」
などの声が上がっている。

本来なら、求めている政策の実現が急がれる状況だが、政権政党の現実の姿とのギャップは埋め難い
とみている声が大半のようだ。

日本の産業の縁の下の力持ちとなってきた中小企業の懸念は、国内産業すべての懸念につながりかねない。

29日に民主党代表選、30日に新首相が選ばれ、菅直人首相が退陣する見通しだが、
新政権には中小企業の意見もくみ取った、一刻も早い政策の実現が望まれる。