止まらない円高で、関西の電機業界は製造拠点の海外移転を加速せざるを得ない状況に追い込まれている。国内の生産拠点が“空洞化”すれば、雇用の悪化を招き、東日本大震災からの復活を目指す日本経済には大きな打撃となる。
「海外生産のウエートを上げるのが当然の作戦」(シャープの町田勝彦会長)、「日本で生産するのは難しい」(パナソニックの上野山実常務)-。関西に多くの生産拠点を抱える大手電機では海外移転の拡大を視野に入れる。
海外の売上高比率が高い電機業界にとって、円高が進めば現地通貨ベースで同じ売り上げでも、円換算の手取りは目減りする。海外市場で競合する韓国勢に対し「価格競争力が低下する」(外資系証券)のも大きなマイナス要因だ。円高の原因となった欧米の景気減速で、輸出自体が鈍化する懸念もある。
例えばパナソニックの今年度の想定為替レートは1ドル=83円で、1円の円高が営業利益に及ぼすマイナスの影響は年38億円。仮に75円台の円高水準が定着すれば、年間で250億円以上の利益が吹き飛ぶ。価格競争力が低下し輸出が落ち込めば、業績はさらに悪化しかねない。
円高には、原油など日本が輸入に依存する原燃料の価格を下げる利点がある。また輸入食品が割安になり、小売業界にとってはプラスの側面もある。それでも、「景気悪化で消費が冷え込む恐れもあり、円高は悪影響のほうが大きい」(大手証券エコノミスト)というのが実情だ。