米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのグループ会社ムーディーズ・アナリティックスは、これまでともに3.5%としていた今年後半と来年の米国経済成長率見通しを、それぞれ約2%、3%超へと大幅に下方修正した。
今回の下方修正は、先の米国債務上限引き上げをめぐる米政府・議会の混乱や、それを受けて米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債格付けを史上初めて「トリプルA」から引き下げるなかで実施された。ムーディーズ・アナリティックスは下方修正の理由について、企業の財務体質の改善や個人の債務削減は進んでいるものの、一連の騒動で企業、投資家、個人ともに米国に対する信認を失った結果とした。
同社はまた今後1年内に米国が景気後退に陥る確率について、現時点では3割強とみているが、株価の下落が続けば高まると予想した。更に、景気回復は当面維持されるものの、確固とした経済成長や雇用創造の見通しは「大幅に後退」した、としている。米国の景気回復は、今年初め時点では順調に進むかにみえていたが、その後の一連の出来事で企業や投資家、消費者らの心理を冷え込ませてしまったという。この一連の出来事として同社は、食料品とガソリン価格の高騰、東日本大震災、欧州債務危機、そして米国債務上限引き上げ騒動を挙げた。また、米国経済の重要課題となっている雇用確保について、失業率を安定的に抑えるだけの雇用を創出するには年率2.5~3%の経済成長が必要としたものの、こうした成長がすぐに達成される見込みは薄いと予測している。ムーディーズは、米債務上限問題以後、米国債の最上級格付け自体は変更しなかったが、先月、見通しを「ネガティブ」として今後引き下げる可能性を示唆している。