来週の外国為替市場は、欧州の金融市場が落ち着きを取り戻せるかどうかが注目される。独仏首脳会談で市場の安定に向けた具体策が示されれば、ユーロには支援材料となる。
ドル/円は、米低金利の下方圧力を受けながら、欧州の動向と米経済指標をにらんだ展開が予想される。下値は介入警戒感に支えられそうだ。
予想レンジは、ドル/円が76.00─78.00円、ユーロ/ドルが1.3950―1.4400ドル。
<欧州の資金調達にタイト>
今の市場が最も注目しているのは欧州の金融市場。欧州中央銀行(ECB)が国債の買い入れを始めたことでイタリアとスペインの利回りは落ち着きを見せ始めたが、市場の不安は欧州の金融システムに移りつつある。今週はフランスの格下げ観測が広がり、ソシエテ・ジェネラル銀行をはじめ、同国国債を大量に保有するフランスの銀行の株価が下落。ユーロ/ドルのベーシススワップが拡大するなど、欧州の金融機関が資金調達難に陥っているとの見方広がった。
市場の混乱を重く見たベルギーとフランス、イタリア、スペイン各国は11日、金融株の空売り禁止を発表。ECBは短期金融市場に大量の資金を供給し、ECBの翌日物貸出残高は40億ユーロと5月中旬以来の高水準となった。こうした措置の効果で「金融のタイト感が収まるかが目先のポイントだ」と、クレディ・スイス証券の外国為替調査部長、深谷幸司氏は言う。
16日にはフランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相がパリで会談する。ギリシャなどの救済基金である欧州金融安定ファシリティ(EFSF)の規模拡大が協議されるかどうかも重要だが、足元の金融システム不安をめぐる対応にも注目が集まる。空売りを非難することが想定されるほか、7月に決まったEFSFによる金融機関への資本注入について、「実行に向けた具体策が決まればポジティブ」と、みずほコーポレート銀行のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は話す。
ドル/円は、引き続き下値不安がくすぶる。米国がゼロ金利政策の継続を表明したことで、「ドルは売ってくれ、と言っているようなもの」(国内銀行)との声が聞かれた。欧州の混乱が収まらずに世界的な株安が続けば、リスク回避でクロス円も下落することが予想され、ドル/円には一段と下方圧力が強まる。
さらに来週は、15日の8月ニューヨーク州製造業業況指数や18日の8月米フィラデルフィア地区連銀業況指数など、米経済指標の発表が相次ぐ。結果次第では米国の追加緩和期待が高まる可能性がある。「株価や債券利回りはリセッションを織り込んできているが、そこまで悪くなっていないことを確認できるかどうか」がポイントだと、クレディ・スイス証券の深谷氏は言う。
スイス中銀がスイスフラン高を抑制しようとする動きも、円の買い材料。同中銀のジョルダン副総裁が自国通貨をユーロにペッグさせる可能性を示唆したことで、スイスフランは下落している。「スイスフラン高対策が騒がしくなっている。円相場にしわ寄せがあるかもしれない」と、みずほコーポレート銀行の唐鎌氏は指摘する。
ただ、市場には日本の当局による介入警戒感がくすぶる。今週も政府・日銀がレートチェックを実施したとの観測で急伸するなど、神経質な値動きが続いた。「ドル/円はリスク回避の円買いと米追加緩和にらみのドル売りに対して、介入警戒感が下値を支える構図が続くだろう」と、SMBC日興証券の国際市場分析部課長、松本圭史氏は言う。
▼世界中から資金がスイスフランへ流入し、自国通貨高を抑えるためユーロと固定させるペッグ制を敷く
というもので、SNBのジョルダン副総裁が、これに対し否定しなかったことから、スイスフランが急落しました。
11日のNY市場では、一時、対ユーロで5.3%下げ、1ユーロ=1.085スイスフラン対ドルでも4.6%下げて1ドル=0.7614スイスフランとなっています。
スイスがユーロペッグ制をとりますと、ユーロが下がった場合、中銀はユーロ買い・スイスフラン売りを行うことになり、実質為替介入と同じことになります。市場関係者の間では、円売り介入のように効果は一時的にすぎず、大局の流れは変わらないという見方が大勢を占めています。
スイスフランは、本質的に金現物の裏づけのある通貨と見なされており、世界的な金融不安が生じ、基軸通貨ドルが売られている以上、スイスフランに流入してくるのは避けられません。
今後、スイス当局による通貨規制が厳しくなることが予想され、スイス中銀が非居住者向けスイスフラン建て預金に付加税を課すなどの資本規制が採られる可能性が取り沙汰されています。
いずれにしましても、スイスフラン高、円高、そして金高の傾向が続きますが、その一角の円は、やがて脱落していくことも