フランス南西部のタルン川岸辺にある小さなキャンプ場が、フランスのトリプルA格付けの見通しを占う指標になるとは考えにくい。だが、フランスが目標通りの債務削減を達成できないとの懸念をかき立てる経済成長の急減速は、アヴェロン県を貫く広い川の人里離れたほとりでも感じられる。
「いつもかなり静かだが、今年は誰もいない」。キャンプ場オーナーのフレデリック・ピエールさんは、ほかに人けがないテラスでトランプで遊ぶ娘たちを眺めながら、こう話す。米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が8月5日夜に米国債を格下げした後、市場が次の格下げ候補を探し回る中で、注目を集めているのがフランスだ。フランスの国債利回りやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率、債務水準は、ほかのトリプルAの国と比べて相 対的に高く、一部の主要格付け機関はフランスのことを最上位格付けグループの中で最も弱い国の1つと見なしている。
国債市場は12日にフランスが第2四半期の経済統計を発表するのを注意深く見守ることになる。予想では、国内総生産(GDP)の成長率が第1四半期の前期比0.9%増から、同0.2%増へ大幅に落ち込むと見られている。
追加の歳出削減が必要か
成長率がこの事前予想に届かなかった場合、フランスは昨年GDP比7.1%だった財政赤字を2013年に3%以下に削減する目標も達成できないとの懸念が高まるだろう。フランスは既に、過度に楽観的な成長予想を債務削減計画に織り込んでいると批判されており、国際通貨基金(IMF)は先月、2013年の目標を達成するには追加の歳出削減が必要だと警告している。また、今週の混乱を受けて市場の圧力が強まっている。フランスのCDS保証料率は9日に161ベーシスポイント(bp、1bpは0.01%)に達し、過去最高を更新した。これに対して米国のCDS保証料率はたった55bpだ。CDS市場によると、ペルー、インドネシア、南アフリカ共和国、スロバキア共和国はすべて、フランスよりもデフォルト(債務不履行)のリスクが低い。