米国債の格付け引き下げに端を発した世界的な円高・株安は9日、国内でも日経平均株価の全面安や超円高を招いた。関西の産業界でも業績への影響を懸念する声は少なくない。
円高の影響をまともに受けるのが、輸出比率の高い大手電機各社。パナソニックの平成24年3月期の想定為替レートは1ドル=83円。1円円高になると年間の営業利益が38億円吹き飛ぶだけに、影響は深刻だ。
ワコールホールディングスの塚本能交社長は同日、「異常な円高は日本いじめにも見える」と苦い表情で語った。大手紡績会社の首脳からは「これ以上、円高が進むと、外国の企業に太刀打ちできず、国内生産はますます難しくなる」と産業空洞化を懸念する声も上がった。
海外への輸出が多い中小企業の場合、円高による影響はさらに深刻で、大企業よりも困惑の度合いは大きい。
テントメーカーの太陽工業(大阪市淀川区)の能村光太郎社長は「コスト削減はもとより、あらゆるリスクヘッジを考えなければ対応できない」と話す。
円高以上に深刻なのが株安。東日本大震災後の自粛ムードが薄れてきただけに、長期の株価低迷は消費者心理を冷えこませる恐れもある。
阪急阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングは、「円高や株安が長引けば消費者の購買意欲が落ちる」と懸念するほか、オリックス不動産も「ビルのテナント入居にも影響が出かねない」と警戒感を隠さない。
こうした状況を踏まえ、大阪商工会議所の佐藤茂雄(しげたか)会頭は同日、「各国で債務問題の改善を進め、為替の協調介入で反転のきっかけを作ってほしい」とのコメントを発表。
また、関西経済同友会の大竹伸一代表幹事も「外貨準備高の活用を検討すべきだ」と、国を挙げた円高・株安是正策の必要性を指摘した。
りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は「日米欧で財政不安が高まり、緊急対策として、財政出動をする余地が残されていない。今後の為替相場には注意が必要」と分析している。