米国や中国などを含む世界の中央銀行は、2つの悪夢のどちらかを選ばざるを得ない難しい決断を
迫られている。
1970年代のような激しいインフレか1930年代の大恐慌かという選択だ。

世界株安と世界経済動揺という状況にあって、各国金融当局者らは成長てこ入れに向けた新しい政策を
打ち出すことを求められている。
難しいのは、インフレが加速している時期に一段の金融緩和でシステムに大量の流動性を注ぎ込めば
物価上昇圧力が高まる点だ。

2001年から07年9月までFRBの金融政策局長を務め現在、
米AEI(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所)の研究員、ビンセント・ラインハート氏は
「何よりも恐ろしい」のはスパイラル的な物価上昇か、景気急減速のリスクだと述べた。
どちらを恐れるかによって、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら世界の中銀総裁らの
今後数カ月の政策が決まる。

主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁は8日に共同声明を出し
「金融安定と成長を支えるために必要なあらゆる措置を取る」と表明した。
ただ、金融緩和が行き過ぎてインフレが急上昇すれば債券相場が下落する。
10年物米国債利回りは1979年末には10.3%と70年代初めの7.9%から上昇していた。
インフレ率は2倍以上の13%超に達した。

一方、当局が金融を十分に緩和せず経済がリセッション(景気後退)に逆戻りした場合は株が売られる。
ダウ工業株30種平均は1930年代の大恐慌期にほぼ40%下落した。

オバマ政権の国家経済会議(NEC)委員長を務めたローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授は
「米経済がリセッション入りするリスクは3分の1だ」として、
米金融当局の行動が「不十分であるリスクの方がやり過ぎのリスクよりも確率が高い」との見方を示した。

1年前にも似た状況に直面したバーナンキ議長は昨年8月27日の講演で量的緩和第2弾への布石を
敷いた。
今回は9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で同様の行動を取る可能性は低いと、
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は言う。
米国のインフレ率とインフレ期待は1年前に比べて高い。