米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国の長期債格付けを「AAA」から1段階引き下げる決定を行ったことで、次はフランスが最上級格付けを失う可能性が最も高いと一部投資家やエコノミストは考えている。
フランス国債をデフォルト(債務不履行)から保証するコストは現在、格付けが同国よりも低い日本や米国、米テキサス州、マレーシア、タイ、メキシコ、チェコを上回っている。スイスのUBSのグローバル経済担当副責任者、ポール・ドノバン氏は「フランスはわたしの意見では既に『AAA』の国ではない。自ら紙幣を増発できない点が米国との決定的な違いであり、市場はフランスを『AAA』として扱っていない」と話す。
主要格付け3社はここ数カ月の間にいずれもフランスの最上級格付けを確認しているが、欧州債務危機に対する同国の脆弱(ぜいじゃく)性をめぐり投資家の警戒心が高まっていることを市場の指標は示唆している。欧州中央銀行(ECB)は7日、イタリアとスペインを危機の波及から防御し、米国の格下げの副次的影響を抑制する方策について、電話による緊急政策委員会を開催して協議した。ウニクレディト・グローバル・リサーチのユーロ圏担当チーフエコノミスト、マルコ・バリ氏は「イタリアとスペインが困難に直面するとすれば、例えば、フランスをなお『中核国』とみなすことが可能だと確信できるだろうか」と懸念を示す。
イタリアより4段階上
フランスの公的債務の国内総生産(GDP)比率は84.7%とイタリアの120.3%を下回っているものの、2007年以降イタリアの倍のペースで拡大している。欧州連合(EU)によれば、10年末の公的債務残高はフランスが1兆5900億ユーロ(約178兆円)、イタリアは約1兆8000億ユーロ。しかし、フランスの単年度財政赤字は06年以降毎年、イタリアを上回っている。S&Pによるイタリアの格付けはフランスよりも4段階低い「A+」。S&Pの欧州担当チーフエコノミスト、ジャンミシェル・シース氏は7日のフランス・インフォ・ラジオとのインタビューで、フランスのアウトルック(格付け見通し)について、「ステーブル(安定的)」だと説明した