格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)は2日、
米議会でデフォルト(債務不履行)回避のための債務上限引き上げ法が成立したことを受け、
米国債の格付けを最上位「Aaa(トリプルA)」のまま据え置くと発表した。
ただし、見通しは「ネガティブ」に引き下げ、財政規律が損なわれるか経済成長が
大幅に後退した場合には格下げする可能性があると付け加えた。
ムーディーズは前月、2日までに債務上限を引き上げない場合はデフォルトに陥る恐れがあり、
米国債を格下げすると警告していた。
▼米債務上限引き上げ法案は、1日の下院可決に続いて2日に上院でも可決され、オバマ大統領の署名を経て成立した。その結果、デフォルト(債務不履行)は瀬戸際で回避され、ひとまず安ど感が広がった。
しかし、米国が最上級の格付けを失う可能性は依然として消えていないほか、今後も増税や支出削減策をめぐる政治的な確執が続く恐れがある。
実際、オバマ大統領や民主・共和両党幹部は妥協案がまとまったことに歓迎の意を示したにもかかわらず、2日の米国株式市場では経済や政治をめぐる不透明感が続くとの懸念から、ダウ平均は265ドル余りの急落を演じた。
この日行われた上院での採決では、2兆1000億ドルの赤字削減策を盛り込んだ法案を74対26で可決。オバマ大統領はただちに署名し、14兆3000億ドルに達していた債務上限の引き上げが期限ギリギリになって決着した。
しかし、投資家はそれで満足しているわけではない。米国の格付けが引き下げられる可能性や、依然として低迷が続いている景気の先行き、それに2012年の大統領選を控えて超党派で構成する委員会が有効な赤字削減策で合意できる可能性などについて、投資家の不安感は消えていない。
ウェルスマネジメント会社キーター・グループのマシュー・キーター氏は「法案成立はポジティブなステップで、短期的には不透明感がやや薄れるだろうが、市場の関心は、消費支出の動向や低調な国内総生産(GDP)データに集まるだろう。経済見通しに対する長期的な疑問は依然として消えていない」と語っている。
今回成立した法案は、少なくとも大統領選挙が行われる2012年11月までの支払いを可能にするもので、今後10年間に渡り2兆1000億ドルの支出を削減するもので、議会に設けられる超党派の特別委員会が具体的な削減策を議論する。オバマ大統領が主張していた増税は盛り込まれていない。
オバマ大統領、民主・共和両党指導部とも、法案成立を歓迎すべき第1歩としながらも、それだけでは十分でないとの認識を示しており、今後は赤字削減に向けた支出削減や税制改革をめぐり、厳しい政治的バトルが繰り広げられる可能性がある。