花王の食用油「健康エコナ クッキングオイル」だろう。
〇九年、体内で発癌性物質に変わる成分が含まれていたことで、回収された。
発癌性物質など議論以前の問題だが、このエコナの「健康効果」自体が怪しかったことは
あまり知られていない。

 鈴木氏は長年、油脂と肥満の関係を研究してきた第一人者だ。その経験を基にエコナの
「肥満気味の方、中性脂肪が高めの方におすすめします」との宣伝に疑問を持ち、自ら実験を行った。
通常の植物油と比較し、ラットと人に投与したところ脂肪燃焼や中性脂肪上昇の
程度に差はなかった。

 鈴木氏がこの結果を〇二年の日本肥満学会で発表しようとした前日に事件が起きた。
花王の担当者が大学を訪れたのだ。担当者は「会社の実験で効果があった」として、
十五本前後の論文を持参した。しかしその論文が極めて限られた条件下での代物だったのだ。
鈴木氏はこう言って呆れる。
「調理に使わず飲ませたり、糖尿病患者を使ったりして得たデータがほとんどだった」
花王が販売する「高濃度茶カテキン」により脂肪燃焼が期待できるという「ヘルシア(シリーズ)」というヒット商品にも「嘘」が隠されている。
その有効成分である高濃度茶カテキンが原因と疑われる肝臓障害がカナダで報告された。実はフランス、スペインでも12件の肝臓障害が報告されており、販売禁止措置もとられている。だが日本でトクホに許可した厚労省は、審議の議事録さえ十分に取らない杜撰な審査しかしていないことも判明した。もし飲むのなら、肝臓検査の数値に注意したほうが良い。

ここに、〇五年に花王が専門誌「化学と生物」に掲載した論文がある。実はこの中には
結論部分に「男女ともBMIが低いヒトでは体脂肪低減を認めず」と書いてある。
BMIとは肥満度のことである。そして、BMIが高いと脂肪低減効果があったと書いて
あるのだが、ご存じの通りヘルシアの宣伝をみてもそのことには触れられていない。
冒頭記したコマーシャルに登場する俳優のBMIが高いようにはとても見えない。