「あの人のおかげで今がある」っと、よく聞く言葉だ。どんな人と出会い、縁を結んだかで人生は大きく変わってくる▼出会いは常に別れを伴う。卒業、旅立ち、そして死別――出会いと別れを繰り返しながら、人は生きる。その現象の奥に意味を見いだせるか否かは、仏法の根本命題でもある。涅槃経には「愛別離苦は能く一切衆苦の根本なり」とある▼日蓮というお坊さんは今で言うと世界の博士でしょう。世界一のお坊さん日蓮大聖人は、一人の女性門下に和歌を詠み贈られた。「ちりしはな・をちしこのみも・さきむすぶ・いかにこ人の・返らざるらむ」(御書1482ページ)――散った花、落ちた木の実も再び咲き結ぶのに、なぜ亡くなった人は帰らないのでしょう――と。その女性門下は、夫の病を機に出家し、回復を祈る。が、夫の寿命は尽きた。失意の夫人に寄り添おうとされた大慈大悲が伝わってくる▼同じ文で日蓮と言うお坊さん言うは”亡きご主人こそ善知識”と励ましを送っている。生前は病で信仰心を触発し、他界後も供養の念を促してくれる存在――そう気づいた女性は、強く生き抜くための一歩を踏み出したであろう▼出会いも別れも、人生の大切な”宝”。その宝を最高に輝かせるために、自行化他の実践がある。