関東地方一都六県のテレビ電波塔として長年活躍しながら、来年五月以降デジタル波送信塔の役割を
東京スカイツリー(東京都墨田区)に明け渡す東京タワー(港区)。アナログ放送が二十四日に終了し、
デジタル放送へ完全移行する中、「東京のシンボル」であるタワーの行く末に注目が集まりそうだ。

東京タワーは数年前から、地デジ完全移行を見据えて、デジタル波送信塔としての地位を守るべく
各方面に働き掛けてきた。だが在京テレビ局六社はスカイツリー利用を決定。東京タワーは予備塔としての
地位を確保するにとどまった。

東京タワーの二〇一〇年度の売上高は五十四億八千万円。内訳は展望台入場料など観光収入が
二十九億円、不動産収入が二十五億八千万円。不動産収入はアンテナや送信室を借りるテレビ局や
FM局からの賃貸料収入が八割を占めており、在京六社のスカイツリー移行によって減収は避けられない。

今後の経営戦略について東京タワーを運営する日本電波塔総務課は「経費節減と観光業に重きを置く」
とするが、観光面でスカイツリーに客が流れることも想定される。

東京タワーの展望台の入場者数は一九八九年度の三百八十万人をピークに減少し一時は二百万人台に。
背景に「地方の団体客しか行かない観光名所」とのマイナスイメージもあった。

同社は〇二年度から施設のリニューアルや、地方物産展の誘致やライブの開催などソフト面の充実に力を入れ、
「観光客だけでなく、首都圏の人たちが遊びに来る場所」へとイメージチェンジを図ってきた。

改善策が効果を生み、〇六年度に三百万人台を回復して今に至る。同社企画部の沢田健さん(39)は
「テレビ電波発信の役割が縮小されても、各種イベントなど情報発信のアンテナとしてもやっていく」と前を向く。