5月の貿易赤字が8537億円と発表になっており、この水準は4月より拡大しており、過去2番目の赤字幅になっています。
この赤字幅ですが、日経は19日付けで『アナリストは最小4060億円、最大1兆1186億円、平均7085億円予測』と報じていました。

平均値よりかなり赤字幅が拡大している実態があり、経済の実態がアナリストの予測より悪化しているとも言えます。

今回の貿易赤字を詳しくみますと、全世界向け輸出が減少しているのが分かります。

アメリカ -10.3%
EU    -8.8%
アジア  -8.7%
中国   -8.1%

「どこが悪い」という次元ではなく、全ての地域向けの輸出が減少しており、これは日本経済の構造的な問題になりつつあるとも言えます。
即ち、日本から輸出が増えることはないのではないかということです。

勿論、自動車などは生産が回復して輸出は増えるのでしょうが、今、世界的に景気が悪化してきており、果たして日本車が今まで通り売れるかとなりますと、かなり厳しい状況下にあると言えます。

日本は今後、電力不足に直面するとされ、節電しなくてはいけない事態になっており、これは製造業にとりゆゆしき問題であり、かつ円高、税金の高さ、政治の不安定さ、放射能汚染の拡大、日本人のスキルの低下等もあり何も日本で製造しなくてもよいと企業経営者が判断しましても何らおかしくはありません。

<今日の日経報道>
*日立金属 海外生産3割に前倒しへ(従来は2013年3月期に24%目標)

<今日の朝日新聞>
昨今の日本企業は、為替問題や法人税、関税問題など、韓国や中国の企業に対して二重、三重苦を抱えてグローバル競争を戦っている。電力料金アップという苦難が加われば、トヨタ自動車の経営幹部の言う、「もう日本での生産継続は限界」の言葉が現実のものになってしまう可能性もある。

<20日付け日経新聞>
三菱ケミカルの小林社長は「電力を含め、ハンディを与え続ける政府の下では経営は苦しい。空洞化を覚悟してでも海外で稼ぎ、それで国内雇用を創出することだと思っている」

今や日本国内だけで製造する企業は、生き残れないかも知れない事態になってきていると言え、日本国内で新卒を増やす企業は、それだけ「対応能力がない」と市場に判断されるかも知れません。

*ところで、この新卒採用ですが、日経新聞は「来春大卒 東レは7割増計画」と大々的に報じていますが、では、一体何人採用するでしょうか?

東レの全従業員(グループ)は38,740人で、東レ本社だけでは6,797名います。
<7割増>という数字は物凄いインパクトがありますが、実際の採用者数は<440人>で、2011年は<250名>だったのです。
この<440名>中、技術系(理工系)は260名となっており、一般文系は<180人>しかいません。
理工系の方が採用が多く、数からは事務系と逆転していますが、ベースが250名でここから440人に増えるのですが、従業員4万人近い大企業からすれば、440名は微々たる数と言えます。
しかも一般事務は180名ですから、全従業員(38,740人)の1%にも満たない数しか文系新卒は採用しないのです。
間違ってはいませんが、「新卒7割増」と報じるのはいささかミスリードのきらいがあると言えます。

ところで、海外進出を図っています【楽天】は昨年は473人採用していますが今年は400人としており73名減少となり、中途採用も2010年度は347名でしたが、2011年度は300人に減らすとしています。

1兆円企業を買収し、海外に逃げる準備を進めている製薬業界1位の【武田薬品】は採用ベスト49位に入ってきていません。
全社員は18,498名となっていますが、採用は280名以下になっています。

マスコミ報道には決して出てきませんが、しかるべき準備をしている企業は日本での採用を減らしている実態をもっと認識する必要があります。