東日本大震災の復興財源について菅直人首相は消費増税を軸に検討する意向を固めた。
消費増税は数年間の時限措置とし、被災地復興に充てるため増発する国債の償還財源
と位置づける。6月に第1次提言を出す首相の諮問機関「復興構想会議」でも、増税 論議を深めてもらう考えだ。

ただ、消費増税分を復興財源に充てることには民主党内でも慎重論がある。
野党でも、自民党は国債発行を主張するが、償還財源については明確に示していない。
このため すぐに消費増税の道筋がつくかどうかは現時点では見通せない。

枝野幸男官房長官は15日の記者会見で、増税の必要性について
「復興に向けて巨額 の資金が必要なのは共通認識」と強調。

復興構想会議議長の五百旗頭真(いおきべ・まこと)防衛大学校長が「震災復興税」を提起したことに対し
「会議の皆さんに考え方を提起していただく中で政府として最終判断をしていく」と語った。

菅政権は、4兆円規模の2011年度第1次補正予算案は国債増発に頼らない方針
だが、これを大幅に上回る規模の第2次以降の補正では国債増発も容認する。
その際、首相は償還財源もあわせて検討する意向で、課税ベースが広い消費税を念頭に制度設計に入る考えだ。

政権は現在、2~3年間の時限措置として、現在5%の消費税率を1~3%引き上げることを検討している。
税率1%で約2.5兆円の増収となり、増税分をすべて復興費に充てる算段だ。

ただ、消費税は地域を分けて増税することが難しく、被災地の個人や企業も負担増は避けられない。
このため、一定額を被災者に還元する案、復興目的を 明確にするため「復興債」を別勘定にして
消費増税分を償還に充てる案――などが 検討されている。

増税措置は数年間の時限措置とする考えだが、その後も税率を維持して社会保障費用に充てる狙いもある。
政権内には「消費増税はあまねく負担を求めることになるが、後に 福祉目的税にシフトさせやすいという考え方もある」(政府高官)との意見がある。

消費税のほか、所得税や法人税の増税も検討対象だ。ただ、5~40%の6段階ある所得税率を各1%引き上げても税収増は約1兆円。
負担が現役世代や会社員など給与所得者に偏る面もある。 法人税は08年のリーマン・ショック後に税収が半減するなど安定しておらず、
10年度の見込みは7.4兆円程度にとどまっている。