発生から1カ月を迎えた東日本大震災の影響で、半導体生産に必要な部材の調達が
危機に直面している。原材料シリコンウエハーと、製造工程に欠かせない洗浄液の
主要な各生産拠点での操業停止がいまも続き、復旧の目処が立っていないためだ。

半導体各社は在庫を活用して生産を続けているが、このまま生産停止が続いた場合、
5月頃から影響が本格化するとの見方もある。

○操業停止続くウエハー3工場

シリコンウエハーの国内生産拠点では、信越化学工業の子会社、信越半導体の白河
工場(福島県西郷村)、SUMCOの米沢事業所(山形県米沢市)、米MEMCの
宇都宮工場(宇都宮市)の計3カ所が震災以来、操業停止したまま。11日時点でも、
信越化学は「近いうちに一部でも再稼働させたいが、本格稼働の時期は未定」として
おり、SUMCO、MEMCともに再開時期の目処は立っていないとしている。

信越化学は、三益半導体工業や長野電子工業(長野県千曲市)などグループの他工場
で代替生産を進めているほか、SUMCOでも伊万里工場(佐賀県伊万里市)の
未稼働設備の活用などを検討しているという。ただ、停止した3工場は、半導体の
先端工場で用いられる直径300ミリのウエハーの世界生産量の3割(業界推計)を
占めており、国内半導体メーカーにとっては3割という世界シェア以上に重要な
調達先だ。

半導体などハイテク分野の調査会社アイサプライ・ジャパンの南川明・副社長は、
白河工場などの操業停止が国内の半導体メーカー与える影響について、
「4月いっぱいは在庫のウエハーで何となる状況だが、5月から問題になりそうだ」
と指摘する。あるウエハーメーカー関係者は「今まで取引のなかった半導体メーカー
から1枚でも出してくれないかという要請が来ている」と話す。

○洗浄液の最大工場も目処立たず

もうひとつ懸念されているのが、半導体の製造工程で必要な洗浄液の供給だ。原料の
過酸化水素を生産する三菱ガス化学の鹿島工場(茨城県神栖市)も震災以来、操業を
停止している。同社の過酸化水素の世界シェアは6割に上り、三重県四日市市、米国、
台湾、シンガポール、韓国でも生産しているが鹿島工場は最大拠点。同社は鹿島工場
について、「プラントに大きな被害はなかったが、鹿島コンビナートの事情で十分な
電気、蒸気、原料(水素)が来ていない」(広報IR部)ため工場を動かせない状況
だという。

現在は鹿島工場などの在庫を使いながら、半導体用の高純度過酸化水素の供給を続けて
いるが、三菱ガス化学では、「在庫は4月のどこかで足りなくなる可能性もあり、
海外品の輸入などで何とか間に合わせようと考えている」(同)と説明する。