民主党内の復興基本法素案で「日銀の国債引受検討」と出たとたんに、
「金利が上昇する」「信認を失う」といった「禁じ手論」が新聞やテレビなどで大きく報道されている。
日銀引受というと、ほとんどの人は知らないだろう。ただし、政治家や金融関係者の中には支持する人も多い。
そうでなければ民主党内の素案には出てこないはずだ。
しかし、マスコミでは圧倒的に否定的な論調が多い。
このような経済関係の記事は新聞社内の経済部で扱われる。
各社の経済部は、財務省内の「財研」や日銀内の「日銀クラブ」といういわゆる記者クラブの記者が中心になっており、
ここから出される記事は、財務省や日銀の意見を代弁していることが多い。
野田佳彦財務相や白川方明日銀総裁は、日銀の国債引受に反対の立場だ。
日銀は「通貨の信任を失う」と主張する。
通貨の信任というのは、モノに対する円の価値が失われないという意味で、極端なインフレにならない状態だ。
つまり日銀は日銀引受をすると極端なインフレになると言っているのだ。
財務省は「金利が上がる」と主張する。
日銀引受するような事態は国債消化が困難であることを意味するので、金利が上昇し、
それが経済活動の足を引っ張るという理屈だ。
金利が上がると国債価格が下がるので、国債価値を維持したいようにみえる。
新聞には、それらをサポートするエコノミストの意見も載っている。
その意見は日銀OBや債券業務関係で金利上昇を嫌う人で、
日銀・財務の提灯持ちばかりだ。
ただし、それらの意見には強烈な反論ができる。
今デフレなのでなかなか日銀の心配する極端なインフレにはならない。
GDPギャップを考えれば20兆円程度の日銀引受ではそうならない。
また、今は低金利だが、成長率が高くなると金利はおのずと上昇する。
金利上昇がイヤというのは成長も否定することになってしまう。
実際、株式市場は金利が高くなるような状況のほうがいい。
このため、株式業務の人には日銀引受を期待する人が多い。
実は、日銀引受は毎年行われていて、私が官邸にいたころは23兆円であったが、デフレのままだったし、
金利も高くなっていない。白川日銀総裁も、3月25日の衆財政金融委員会で
これまで毎年行われている日銀引受で通貨信任が失われたことはないと発言している。
そもそも日銀が極端なインフレにしないようにするには、適切なインフレ目標を設定する必要がある。
インフレ目標を否定しながら、それをはるかに凌駕する極端なインフレを日銀引受の反対理由とする日銀の姿勢は、
震災被災者より日銀組織のほうが大切というようなものだ。