スマートフォンやタブレットPCなどに使われる樹脂「BTレジン」の世界シェア90%を握る日本が震災で供給をストップしたことで、各国メーカーによる激烈な争奪戦が勃発しようとしている。業界の慣例では2カ月分の在庫を持つのが一般的だが、震災の影響が長引けば深刻な供給不足は免れない。
実は日本の生産側が受けた地震の影響はそれほど大きくなかった。福島第1原発事故による停電がなければ、ほとんどの工場は1カ月もすれば生産が再開できたはずだ。だが、今のところ原発問題は早急な解決が見込めそうもない。それはつまり、BTレジンが長期にわたり供給されないということになる。
三菱ガス化学は4月から震災前の4分の1程度の生産を再開する。これを米アップルが独占すると息巻いているとの情報もあるが、それは不可能だろう。三菱ガス側もそんなことをするはずがない。だが、この状態が長引けばメーカー側はいつまで持ちこたえられるか。日本からBTレジンをどれだけ供給してもらえるかに、各メーカーの存続がかかっていると言っても過言ではない。
BTレジンの問題は日本の震災が引き起こしたさまざまな危機の中のごく一部に過ぎない。サプライチェーンの「川上」となる電子材料や製造装置は日本が圧倒的なシェアを握っている。このままでは今年の電子製品の出荷に影響が出るのは必至だ。今回の震災が中国を含む世界の電子産業に及ぼす影響は、まだこれから表面化してくるに違いない。