東日本を襲った巨大地震は、日本の原子力発電所の「安全神話」を揺るがし、日本経済を支える物流などのインフラや主要企業の生産に甚大な被害を与えた。「(2008年の)リーマン・ショックを上回る危機」(川村雄介大和総研専務理事)との見方もあり、景気回復の遅れは確実。株式市場の不安定化も避けられず、迅速な復旧・復興対策を求める声が広がっている。
 発生から一夜明けた12日、東北から関東まで広範囲に及ぶ経済的被害の深刻さが明らかになった。原子力発電所のトラブルなどで大規模な停電が発生。建物や設備が壊れた自動車、半導体の工場は相次いで操業を停止した。
 空港、高速道路など物流網の寸断で原材料や部品が届かなければ、影響は全国の工場に波及する。部品メーカーの被災もあり、トヨタ自動車など日本の3大メーカーは全国で14日の完成車生産を停止する。景気回復をけん引してきた輸出も、港湾施設が打撃を受けたため影響が避けられない。阪神・淡路大震災当時と同様に、消費心理の冷え込みも懸念される。
 具体的な経済損失額の算定はこれからだが、約10兆円(兵庫県推計)とされる阪神・淡路大震災を上回る懸念がある。このため、企業業績の回復が主導する形で今年1~3月にも踊り場を脱却するはずだった景気の回復シナリオが「不確実性を増した」(熊野英生・第一生命経済研究所主席研究員)のは間違いない。
 株式市場も不安定化しそうだ。政策対応が遅れれば、「日経平均株価は9500円まで下落してもおかしくない」(株式評論家・植木靖男氏)。原発の地震被害は株式の委託売買代金で6割を占める外国人の投資行動にも影響を与えると危惧する声が出ている。