エジプトや燃えさかるリビア争乱だけではない。いま株式市場で昨年のギリシャやアイルランド危機に続き、欧州のソブリン・リスク(国家に対する信用リスク)が再燃するのではと懸念されている。ひと度、発火すれば、日本の市場を直撃、日経平均株価も1万円割れは避けられない。市場関係者は次の発火点をポルトガルとスペインと予測、警戒心を強めている。

 ソブリンとは各国の政府や政府機関が発行する債券の総称で、昨年は5月にギリシャ国債、11月にアイルランド国債が暴落するなど危機が叫ばれた。

 最近はドイツを中心に欧州経済が回復し始め、リスクが影を潜めたかに見えるが実態は違う。

 問題とされる「PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)」では依然財政問題が残り、これらの国々の国債が3月から4月にかけて、まとまって償還を迎えるのだ。

 順調に借り換えができればいいが、従来以上に高い金利が要求されたりするような状況になると、ソブリン・リスクが再燃しかねない。

 その発火点になりそうなのがポルトガルで、市場関係者が注目するのはドイツ国債との金利差。これが「4%以上拡大すると、金利差は一気に広がる傾向がある」(メガバンク為替市場アナリスト)。小難しいが、4%が一つのシグナルと受け取られている。

 「ポルトガルよりスペインの方が問題だ」(準大手証券ストラテジスト)との声もある。

 そもそも、ポルトガルの経済規模はアイルランドより少し小さい程度で、危機が起きても、EUのセーフティーネットである「金融安定ファシリティー(EFSF)」にプールされる金額(当初7500億ユーロ=約85兆円)で事足りる。

 だが、欧州経済で10%以上のシェアを持つスペインに火がつくと、「EFSFの資金では足りなくなる可能性がある。EFSFの規模拡大に向けて協議を重ねているものの、負担の大きいドイツは渋るばかり」(先のストラテジスト)というから穏やかではない。

 振り返ってみると、スペインよりはるかに小さいギリシャが揺れただけで、日経平均株価は3週間で10%も値下がりした。スペインショックで同程度下落した場合、日経平均は1000円前後下がり、1万円を割り込むのは確実。為替も円高ユーロ安が懸念される。

 クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「スペインの場合、不動産バブルの崩壊が問題視されているが、どこまで傷んでいるのか実態が分かっていない。このため危機は4月以降に先送りされる可能性もある」と語る。

 スペインが沈めば世界経済も傾きかねない。もちろん、そのなかに日本もいる。