輸出戻し税は、外国の消費者から消費税がとれないとして、輸出売り上げにゼロ%の税率をかけます。従って輸出売り上げにかかる消費税はゼロ円です。一方仕入れにかかった消費税は輸出売り上げに相当する5%分を引くことができます。ゼロから5%相当分の消費税を引くのですから、常にマイナス、「輸出戻し税」がもらえるわけです。輸出大企業は輸出だけではなく国内販売もしています。例えばトヨタの年間の課税売り上げは3兆6881億円(総売上高の約40%)。これに5%をかけた「課税売り上げにかかる税額」は1844億円です。課税売り上げに対応する仕入れ高は3兆0239億円で、5%をかけた1512億円が「国内仕入れにかかる税額」となります。「課税売り上げにかかる税額」1844億円から「国内仕入れにかかる税額」1512億を引いた332億円が、本来、トヨタが税務署に納める税金です。
ところが、トヨタの輸出戻し税は2296億円ありますから、差し引き、1964億円の還付を受けることになります(表参照)。つまり、課税売り上げにかかる消費税は、それを上回る輸出戻し税によって相殺され、税務署には1円も納付されないわけです。もし輸出戻し税制度(ゼロ税率制度)がなく、輸出販売が単なる非課税だとしたら、トヨタは課税売り上げにかかる消費税332億円を納税しなければなりません。そう考えると、消費税は輸出大企業にとって実にうまみのある制度だということになります。
▼輸出上位10社になんと約1兆円の輸出戻し税があるのです(図参照)。輸出戻し税がなぜ許されるのでしょうか。日本の消費税やヨーロッパの付加価値税は、売上にただ5%を掛けるという税金ではなく、そこから仕入などに入っている消費税5%分を引き、納める税金を計算する方式(仕入税額控除方式)です。しかし、国内で売った場合には5%転嫁できますが、海外に売った場合には、お客さまからは取れないということで、(海外売上高)×(ゼロ税率)=ゼロとなってしまうのです。結局、輸出販売に対する仕入に入っていた税金というのはすべて戻ってくるしくみです。では、トヨタの場合はどれくらい戻ってくるのか。
(国内売上高)×5%から、(国内売上高に対する仕入高)×5%を引くと、374億円ほど納税額が出ます。
=本来これは納めなければいけないのです。
ところが輸出戻し税の計算をすると、2665億円も戻ってきますから、そこから国内の納める分374億円を引いて、なお2291億円ほどがトヨタに還付(図参照)されることになるのです。
それでは大企業にどのくらい、還付税があるのか。消費税全体の税収が、地方消費税を入れて5%で計算すると約13兆円です。そのうち、約23%の3兆円も還付をしているのです(平成18年度予算)
▼「消費税を社会保障財源にする」と、政府や政府税調、経済財政諮問会議、自民党税調まで言い出しています。石前政府税調会長も同様のことを言っていますが、かつて政府税調は消費税の社会保障財源化にはっきりと反対していたのです。この論理の一番の問題点は、輸出戻し税があるということです。トヨタなど輸出大企業は、消費税を実質的にまったく負担しないばかりか戻ってくるのです。社会保障財源を負担するのではなく補助金をもらう。戻ってくる社会保障負担というのがあっていいのでしょうか。信じられない論理のトリックです。景気の回復が言われていますが、国内の中小企業の状況を見れば、内需の伸び悩みで好況感がない。景気が良いのは輸出大企業がほとんどです。こうした大企業をさらに後押ししているのが、実は輸出戻し税制度なのです。内需が伸びなくても輸出産業だけが伸びていく。トヨタの莫大な利益の背景には輸出戻し税の存在があるのです。
▼もう、お分かりかと思いますが、消費税率が上がれば上がるほど輸出会社は輸出戻し税がガッボガッボと入ってくるのです。だから、経団連は<法人税の減税><消費税の増税>を1セットで言うのです。
<法人税の減税>で収める税金は安く、<消費税の増税>で輸出戻し税をガッポリと頂こうと、経団連はこういう算段です。あくどすぎるやないか!
