「心臓の筋肉が厚くなっていると言われたけど、自覚症状はないし大丈夫かな?」
「スポーツ中に突然倒れるニュース、自分もリスクがあるの?」
今日は、若年者やアスリートの突然死の原因として最も注意が必要な病気の一つ、**「肥大型心筋症(HCM)」**についてお話しします。
「遺伝するの?」「スポーツはもうできない?」そんな不安を解消するために、大事なポイントを削らず、分かりやすくまとめました!
💓 肥大型心筋症(HCM)ってどんな病気?
簡単に言うと、**「心臓の筋肉(主に左心室)が、遺伝的な原因で異常にぶ厚くなってしまう病気」**です。
ここがポイント!
• 500人に1人という多さ:実はそんなに珍しい病気ではありません。
• 遺伝の影響:親から子へ50%の確率で伝わる「常染色体優性遺伝」です。
• 無症状が多い:普通に生活できている人が大半ですが、一部の方に「不整脈」によるリスクが隠れています。
大きく分けて、血液の出口が狭くなる**「閉塞性(HOCM)」と、狭くならない「非閉塞性」**があります。
⚡ 命に関わる「不整脈」の話
HCMで最も気をつけなければならないのが不整脈です。
1. 心室細動・心室頻拍(突然死の主犯格)
肥大した心筋は電気的に不安定。運動中などに突然、心臓がパニック(心室細動)を起こすことがあります。これが突然死の原因です。
2. 心房細動(もっとも多い不整脈)
心臓が硬くなると、上の部屋(心房)に負担がかかって震え出します。脳梗塞のリスクが激増するため、HCMで心房細動が出たら、リスクスコアに関わらず**「血液サラサラの薬(抗凝固薬)」が必須**になります。
3. 非持続性心室頻拍(NSVT)
自覚症状がない短い不整脈ですが、これがホルター心電図で見つかると「将来の突然死リスク」の重要なサインになります。
🔍 「突然死のリスク」はどうやって見極める?
全員が危ないわけではありません。以下の項目に当てはまる場合は要注意です。
• 家族に若くして(40歳未満)心臓で亡くなった人がいる。
• 原因不明の「失神(気絶)」をしたことがある。(特に運動中や直後)
• 心筋の厚さが30mm以上ある。
• 運動中に血圧が上がらない、または下がってしまう。
欧州心臓病学会(ESC)の「HCM Risk-SCD スコア」を使えば、5年以内のリスクを数値化できます。気になる方はチェックしてみてください。
🛡️ 命を守るための「最強の武器」と「最新の薬」
① 植込み型除細動器(ICD)
高リスクと判断された場合、心臓の動きを24時間見守り、危険な不整脈が出た瞬間に電気ショックでリセットしてくれる「ICD」が突然死予防の切り札になります。
② 画期的な新薬:マバカムテン(カムズィオス®)
2022年に日本でも承認された最新薬です!心筋の過剰な収縮を抑え、血液の出口が狭くなる「閉塞」を劇的に改善してくれます。
③ 根本的な治療
薬で改善しない場合は、厚くなった筋肉を削る手術(中隔心筋切除術)や、カテーテルでアルコールを注入して筋肉を薄くする治療(PTSMA)という選択肢もあります。
🏃 スポーツや生活で気をつけること
• 運動制限:高強度の競技スポーツは、残念ながら突然死のリスクを高めるため推奨されません。ただし、ウォーキングや軽いジョギングなどの「レクリエーション」は、リスクに応じて可能な場合が多いです。
• 脱水・アルコールはNG:脱水になると血液の出口がさらに狭くなり、アルコールは不整脈のトリガーになります。
• 家族スクリーニング:この病気は遺伝するため、ご自身が診断されたら、兄弟や親、お子さんも一度エコー検査を受けることが強く推奨されます。
🌟 まとめ
肥大型心筋症は、正しくリスクを知れば**「突然死を防いで、天寿を全うできる」**病気です。
1. 「家族歴」と「失神」は最大のサイン。
2. 心房細動が出たら即、脳梗塞対策!
3. ICDや最新薬など、守る手段はたくさんある。
「運動中に仲間についていけない」「時々胸が痛む」など、小さな違和感があれば、それは心臓からのSOSかもしれません。不整脈専門医の診断を受けて、自分にぴったりの「守り方」を見つけていきましょう!
次回は「拡張型心筋症(DCM)」を書いていく予定です!お楽しみに!