「心臓がだんだん大きくなって、ポンプの力が弱まってしまう……」
そんなニュースや診断を聞くと、とても不安になりますよね。
今日は、心不全の代表的な病気でありながら、実は「不整脈」の管理が命を守るカギになる**「拡張型心筋症(DCM)」**について解説します。
最新の治療薬や、突然死を防ぐためのデバイス(機械)の話など、大事なポイントをギュッと凝縮して、分かりやすくお届けします!
💓 拡張型心筋症(DCM)ってどんな病気?
一言でいうと、**「心臓が風船のように膨らんで伸びきってしまい、血液を送り出す力が弱くなる病気」**です。
3つの特徴
1. 心臓が拡大する:左心室が大きく広がります。
2. 壁が薄くなる:筋肉が引き伸ばされて薄くなります(ここが肥大型との違い!)。
3. ポンプ機能が落ちる:血液を押し出す力(駆出率:EF)が低下します。
原因は遺伝、ウイルス感染、お酒、抗がん剤の副作用など様々ですが、最近では「ラミン(LMNA)遺伝子」などの異常が、不整脈のリスクを特に高めることが分かってきました。
⚡ 忍び寄る「不整脈」のリスク
DCMでは「心不全(息切れ・むくみ)」だけでなく、以下の不整脈への対策が必須です。
• 心室頻拍・心室細動(突然死の原因):
引き伸ばされた心筋は、電気信号が乱れやすくなっています。これが原因で心臓がパニックを起こし、突然止まってしまうことがあります。特に「心機能(EF)が35%以下」になるとリスクが急上昇します。
• 心房細動(脳梗塞と心不全悪化の原因):
心臓が大きくなると、上の部屋(心房)も引き伸ばされて震えだします。DCM患者さんの約3割に見られ、脳梗塞のリスクが非常に高いため、リスクスコアに関わらず「血液サラサラの薬」が推奨されます。
• 左脚ブロック(心臓のバラバラな動き):
電気の通り道が途切れてしまい、心臓が「左右バラバラ」に動くようになります。効率がさらに悪くなり、心不全を悪化させます。
🛡️ 命を守る!最新の「3種の神器」治療
① 薬物療法の進化(ファンタスティック・フォー)
今、DCMの薬物治療は革命期にあります!以下の4つの薬を組み合わせることで、心機能が劇的に回復(リバースリモデリング)することも珍しくありません。
• ARNI(エンレスト):心臓を保護し、入院を減らす。
• β遮断薬:心臓を休ませ、不整脈を抑え、寿命を延ばす(最重要!)。
• MRA(スピロノラクトンなど):心臓の線維化を防ぐ。
• SGLT2阻害薬:最新の心不全治療薬。心臓の負担を減らす。
② 突然死を防ぐ「ICD」
心臓の中に常に「救急隊員」がいるようなもの。危険な不整脈を検知した瞬間に電気ショックで命を救います。
③ 動きを整える「CRT(再同期療法)」
左右バラバラに動く心臓にリズムを教え、同期して動かします。これにより心臓が小さく戻ったり、ポンプ機能が改善したりするすごい治療です。
🔍 「リスクが高い人」のサインは?
特に注意が必要なのは、以下のようなケースです。
• EF(駆出率)が35%以下:薬を3ヶ月飲んでも改善しない場合。
• ラミン遺伝子変異がある:たとえ心機能がそこまで悪くなくても、不整脈のリスクが高い。
• 家族に若い突然死の方がいる。
• 説明のつかない「失神」がある。
🌟 生活で心がけたいこと
1. 塩分・水分の管理:毎日体重を測り、急増(2日で2kgなど)したらすぐ受診!
2. お酒は控える(または禁酒):特にお酒が原因のタイプは、禁酒だけで心機能が元に戻ることもあります。
3. 家族スクリーニング:この病気は遺伝することがあるため、ご家族(親・兄弟・子供)も一度エコー検査を受けるのが安心です。
4. 適度な運動:心臓リハビリは効果的ですが、競技スポーツは避けましょう。
🌟 まとめ
拡張型心筋症は、かつては非常に怖い病気でしたが、今は**「最強の薬4種盛り」+「高度なデバイス(ICD/CRT)」**によって、普通に近い生活を送れる人が増えています。
• 「薬を正しく飲むこと」
• 「不整脈のサイン(動悸・失神)を見逃さないこと」
• 「生活習慣を守ること」
この3つで、心臓の未来は大きく変えられます。もし「最近、階段で息が切れるな」と感じたら、我慢せずに循環器専門医に相談してくださいね。
次回は「不整脈原性右室心筋症(ARVC)」について書いていく予定です!お楽しみに!