早稲田大学の大先輩、詩人の渡邊十絲子さんが
27日(木)の東京新聞の夕刊「気になる新書」で
『レジリエンス入門』
を紹介してくださいました。
渡邊十絲子さん、本当にありがとうございます。
感謝感激しております。
気になる新書 渡邊十絲子
ストレス対処法示す
レジリエンスってなんなんでしょう。
実はストレスと対になる言葉だ。
もともとはどちらも物理学用語。
ストレスが「外圧による歪み」で、
レジリエンスは「その歪みを跳ね返す力」
のことである。心理学に転用されて、
「心にかかる圧力」と「その圧力に耐えたり、
回復する力」という意味に使われている。
ストレスのほうはおなじみの言葉ですね。
感染症の流行に対してはみんな「衛生」を
心がける。また、自分の衛生状態を
コントロールするのが「自己管理」で、
これは社会人に必要な条件とも考えられている。
でも、心の衛生のほうはどうだろう。
人間だれしも、怒りや不安にとらわれる。
そのとき適切に対処して健康な心を
取り戻すことは、争いやハラスメントの
流行を予防する最善の策なのに、それほど
注意が向けられていないのではないか。
インフルエンザに対抗するのは、
根性や気力ではなくて
「うがい・手洗い」や「免疫力アップ」だ。
心の健康も同じことです。
この本は、ストレス耐性や
心の自然治癒力などを
どう身につけていくかを見せてくれる。
われわれがおちいりがちな思い込みや、
心の健康をさまたげる悪い習慣などについても、
ついそうしてしまう理由や背景から解説してくれる
から納得しやすい。
知恵ある人になればトラブルへの対処だって
うまくなるが、それには「知識」を増やすよりも
「視点」を増やすことが大切なようだ。
自分のなかに他者の視点をもち、
客観的に自分の感情を見て、
「自分はこのことに対して怒っているんだな」
「ほんとうはこうしたかったんだ」と
把握することが第一歩。初めは「心ない」と
思った他人の言動も、その人の視点から
よくよく事情を見てみれば、
もっともな理由が見つかるかも。
わたしはいまだにストレス解消の
方法がよくわからないのだけれど、
ストレスは解消するのではなくて、
より心地よい精神状態をつくるための
踏み台にするのがいいようですよ。
そのほうが、ストレスを感じない人よりも
長生きするのだとか。驚きです。
(わたなべ・としこ=詩人)