3. 「 ペーシング 」  その2  ( 2005年 5月22日 )

前回の「一緒に取り組む」に関して、企業研修の個人セッション中に
ある受講者から以下のような成果を聞きました。

田村さん(仮名)は、課長職、残業続きの毎日で、家には寝に帰るだけの状態です。
田村さんには、三人の娘さんがいます。小学校四年生、高校一年生、高校三年生です。
ある日曜日の午後、「家族との時間を持つこと」が個人目標の一つだった田村さんは
奥さんと小四の娘さんを誘って、三人で庭でバレーボールをすることになりました。
上の二人のお姉ちゃんも、たまたま自宅にいたので、とりあえず声をかけてみたところ、
田村さんの予想に反して、二人とも喜んで参加してきたそうです。
家族五人でのトス回しは、とても盛り上がり、3人の娘さんは
「キャーキャー」言いながら大はしゃぎしていたそうです。
文字通り、あっと言う間に二時間が過ぎました。
その日の夕食は、バレーボールの話で盛り上がり、
その後も、朝食や夕食の時に、家族全員がそろうと、
娘三人は、あの日の、バレーボールの話で持ちきりです。
「本当に楽しかったね」「また、やろうね」「今度は、百回つづけようね」

田村さんは、振り返りました。
「今まで、一年に一回、自分を犠牲にしてまで家族サービスをしてきました。
時間とお金をかけ、旅行をすることが、家族にとって一番なのだと信じていたんです。
でも、お金も時間もかけずに、こんなにみんなが楽しめて、しかも一体感と充実感を感じ
こんなに大切な『思い出』として残ることがあるんですね。驚きました」

思いがけず、ある休日の午後、大好きなお父さんと一緒にバレーボールができたこと、
三人の娘さんにとっては、どんなに嬉しかったことでしょう。
きっと、人間関係の「預け入れ」は、こうして「コツコツ」がキーワードなのですね。