9. チームワーク研修 その2 ( 2005年 7月 3日 )

不公平感は著しく私たちのモチベーションを下げます。
真面目にやっている人、一生懸命な人、まっとうな人が、
バカを見たり、損をしたりする組織は極めて不健全です。

日本経済新聞   「春秋」より

 仕事のご褒美にもらうエサの質が、
仲間より低いことを知ったアオマキザルは、
もらったエサを投げ出して、不公平に抗議する。
利益の最大化をはかるなら、くれるというものは何でも、
とりあえずはもらっておく手だが、まず情が働く。
 チンパンジーで同じ実験をすると、つき合いの長い仲間との報酬格差は
許容するのに、あまり親交のない個体との不公平には敏感に反応する。
取引の原点では、合理性より情動がものをいうのか……。
日経サイエンス7月号で米国・エモリー大学のドゥ・ヴァール教授が説く
「動物たちの行動経済学」は暗示的だ。
 野生のチンパンジーは集団で狩りをする。
最後に獲物を手にするのは一頭のみ。しかし、ウィナー・テイクス・オールではない。
勝者は自律的に仲間におすそ分けをする。それも狩りに参加した協力者のみに。
協力への報酬である。毛づくろいなどの恩恵を受けたら、
ちゃんと覚えていて「恩返し」で食物を配る。
 不公平への怒り、親しきものへの寛容、協力への感謝、恩返し。
彼らの経済行動からみえてくるのは、分配のルールというより、
倫理の原型かもしれない。それにしても、不公平への反発か優遇への羨望か、
きのうまで喜んで受け取っていたエサを、無価値なもののごとく拒絶する激しさ。
嫉妬の源泉は大きく深い。