12. 「 結 果 」 と 「 過 程 」  ( 2005年 7月24日 )

SYPプログラムのキーワードは、他にもあります。
③「結果」と「過程(プロセス)」、④肯定的な意図  

今回は山口良治さんのインタビュー記事を紹介します。
あのスクールウォーズのモデルになった方です。
特に最終段落にこのキーワードが多く含まれています。
(肯定的な意図に関しては、全文を通じて、直接は見えませんが‥‥)

おやじのせなか  「期待」励みに苦しさ越えた  山口良治   朝日新聞より

 実家は農家だった。農作業をしていた父は真っ黒に日焼けしていた。
76歳で死んだが、かくしゃくとしていた。
 中学生の時に「期待されるような人間になれ」と言われた。
長男の私に母や自分が期待していることを伝えたかったのだろう。
それからは、「自分は何ができるのか」ということを意識するようになった。
苦しいときは「期待されているんだ」と思うと頑張れた。
「子供に期待のかけすぎは良くない」というが、励みになることもある。
それをどう伝えるかが大切だ。
 中学時代は野球一筋。当時の夢はプロ野球選手になることだった。
野球が強い高校に進学したかったが、父は猛反対。
長男に農家を継いで欲しかったのだと思う。結局、野球部がない農林高校へ進学。
でも、そこでラグビーに出会えた。人生わからない。
 体育教師を目指し、東京の大学に進学。父は反対しなかった。
地元に戻って教師になることを期待していた。
当時は東京へ進学するだけでも大変な時代。田畑を売って学費を工面してくれた。
 ラグビーについて、父とあまり話をした記憶はない。
指導者となった私にはいつも「子供にケガさせたらいかんぞ」と言っていた。
そのお陰か、私の教え子には一生残るような大けがをした子がいない。
私にとって大きな誇りになっている。
 伏見工が初めて全国制覇した時の決勝戦。試合前に宿舎から父に電話した。
どうしても声が聞きたかった。「日本一になってくるわ」と言いながら父の声を聞くと、
なぜか涙が込み上げてきた。父は「試合前から泣いてどうするんや」
試合前は必ず近所の八幡さんで必勝祈願をしてくれていたことを後で知った。
 父は今のおやじには失われがちな「強さ」を持っていたと思う。
強いというのは「優しさ」があるということ。
子供が問題を起こすまでには必ず「過程」がある。
どんな時も子供をありのままに受け止めるように心掛けてきた。
私も知らず知らずのうちに、父のような「おやじ」を目指していたのかも知れない。