24. 猫の話  その1  ( 2005年10月16日 )

 生まれて初めて猫を飼い始めたのが3年前です。
車で近所の野良猫をひき殺してしまった罪ほろぼしに
両目がつぶれた瀕死の捨て猫を拾い、飼い始めたのがキッカケです。
実際に飼ってみると妙にかわいくて、犬派だった私は完全に猫派になりました。
この3年間で捨て猫は4匹拾ってきましたが、2匹は死んでしまいました。
 猫を飼うたびにクライアントが増えるので
最近では験担ぎの意味も兼ねて、猫を飼う(買う)ようになりました。
そして、先日とうとう5匹目のペルシャがやってきました。
ペルシャに関してはコレクターの域に達していて、
黒、三毛、チンチラシルバー、チンチラゴールデン(こいつが新入りです)
白のオッドアイ(左右の目の色が違う非常に珍しい猫です)と、5匹になりました。
捨て猫と合わせて、今、7匹の猫と3匹の犬が同居しています。
 猫から多くを学んでいます。

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「子猫の教え 」   東京都墨田区 大平京子さん 主婦 34歳

 今朝も、ブヒブヒ、フンフンという色気のない鼻息で目が覚めた。
 鼻息の正体は、我が家の猫エマス。日の出とともに目覚め、
目覚めと同時に空腹を訴える。
 人間の時間割りに慣れさせようと、私もたぬき寝入りで応戦するが、
ブヒーッブヒーッと次第に激しさを増す鼻息がおかしくて、笑いながら起きてしまう。
そして、ブヒでもブウでも、息をしてくれていてよかったと思う。
 生後まもなく、我が家の駐車場でぐったりしているところを夫が見つけた。
腹膜炎とインフルエンザを併発していた。
そのせいで、エマスは片目が見えない。
足りない視力を嗅覚で補いたいが、後遺症で鼻も悪い。
 だから必死で息をする。走り回るとゼイゼイいうし、寝ているときはいびきをかく。
猫は鼻がつまると食欲不振になるというが、エマスはへこたれない。
ブヒブヒやかましくご飯をかぎながら、ぺろりと平らげる。
小さな体がすべて食べることに集中しているのが分かる。
 エマスのおかげで、私たち家族は「ながら食べ」をやめ、食事を楽しむようになった。
ひそかに漂う花の香りや、どこかの夕げのにおいを味わいながら、
深く息をすることも覚えた。
 生後4ヶ月の子猫が、私たちに精いっぱい生きるすべを、日々教えてくれている。