27. 「 ペーシング 」  その3  ( 2005年11月 6日 )

5月22日以来のテーマになります。
共通の話題はラポールづくりの基本です。
犬を代表として、ペットを飼っている人は多いと思います。
ペットを飼うことにより共通の話題が増えることは
ペットを飼うことの効果の一つではないでしょうか。
子供が思春期に入り関係が以前より繊細になってしまった親子、
子供が成長し独立した後に再び夫婦二人きりの生活に戻った夫婦など、
コミュニケーションの難しさを感じたときには、もし許される環境にあるのなら
ペットを新しい家族の一員に迎え入れてみてはいかがでしょうか?


朝日新聞 生活欄 ひととき より

「我が家の潤滑油 」   長野県松本市 笹本佐知子さん 主婦 50歳

 我が家に真っ黒ウサギの「うーた君」がやってきたのは、1年ほど前のこと。
高校生だった娘の希望で飼い始めたのだが、
彼はその後、重要な役割を演じることになった。
くりくりした目とかわいいしぐさで、夫のハートもつかんでしまったのだ。
 思春期の娘と父とは、ギクシャクすることも多い。
「お父さんったら、あなたが生まれたとき、本当に跳び上がって喜んだのよ」
「寝ても覚めても赤ちゃんに夢中でね。
むずかると抱っこして気長に寝つかせたり、お風呂に入れてくれたり」
実際、夫のふっくらとした腕は妙に赤ちゃんにフィットし、横抱きは彼の得意技だった。
 だが、私がいくら力説しても娘は「そんなの覚えていないもん」
彼女が物心ついたころ、夫は仕事で多忙になっていた。
 ところが、ある日、夫の様子を見て笑ってしまった。
彼はウサギにやさしく話しかけ、世話をやき、抱っこすれば無意識にゆすっている。
ウサギは寝つかせる必要などないのに。
 赤ちゃんだった娘への態度そのものだ。
娘は自分が小さいころの父の姿を納得したようだ。家の中に笑いが増えた。
家族が互いに愛情をもっていても歯車がかみあわないこともある。
うーた君は潤滑油となった。
 感謝してるよ、うーた君。
彼はそしらぬ顔で、今日もいたずらを続けている。