33. サザンオールスターズの年末ライブ    ( 2005年12月26日 )

出不精の私とは反対に妻は非常に活動的です。
妻はライブが大好きで、お気に入りのアーチストの音楽や
スポーツ観戦もすべてライブで楽しまないと満足しないようです。
(私は個人的にはテレビで十分だと思っていました)
今の妻と結婚してから、数多くのライブに付き合わされました。
そして、そこから信じられないくらいのエネルギーと感動をもらいました。
私がライブ感覚を重視した研修を提供しているのも
そんな影響があるのかも知れません。
妻は殊の外サザンオールスターズの桑田佳祐さんのファンなので
ここ数年、毎年、12月になると私の予定は完全に無視されてライブに駆り出されます。
私の一番のお気に入りの曲が「私の世紀末カルテ」。
「さくら」というアルバムに収録されている曲です。
現代社会を痛烈に風刺した強烈なメッセージを含んだ歌詞です。
初めてライブで聞いたとき、鳥肌と涙が止まらなくなったことを覚えています。
もう5年前の歌詞なのに、今聞いても新鮮です。
今という時代と自分の足元を、もう一度、止まって、見つめ直す機会になりました。
私たちは本当に進歩しているのでしょうか。
本当に幸せなのでしょうか。
先週は更新をサボったので、今回は長めの内容にしました。
「私の世紀末カルテ」 ( 作詞:桑田佳祐   歌:サザンオールスターズ )

※ 2~5番は、2000年12月のライブヴァージョンです。

家に帰るとテレビがなくては生きていけません
嘘でもいいから刺激がなくては死んでしまいます
こんな時代に手紙を書くのが好きになりました
他人(ひと)に己をさらけだすのが怖くてなりません
闘うことや傷つくことは拒むけど
野暮な慰めにゃ ホロホロリ

飯島愛には共感できると我が子は言いますが
内閣総理になりたい子供を近頃見かけません
世の中のために働く警官、政治家、お医者様
不本意ながらも不埒なイメージで語られ惨めです
尊敬される大人であれとは言わないが
せめて人として生きましょう

包丁一本サラシに巻いてバスを乗っ取るも
自宅の地下で吸引するのも 麻薬に手を出すも
少女監禁するのも バットで親を殺すのも
よってたかってカツアゲするのも すぐに切れるのも
社会が悪いとうそぶいたのはもう過去のこと
今は答えさえ風の中

携帯電話とパソコンがなくても生きていけません
情報ソースとツールにまみれた暮らしが文化でしょう
自然を根こそぎ破壊しながら街を造りましょう
コンビニエントで快適な日々は今さらやめらぬ
いらないゴミは垂れ流しましょう みんなして
そして知らぬフリいたしましょう

拝啓、マスコミ、メディアの皆様、お世話になってます
報道という名で叶姉妹の過去などあばいてる
かくいう私もエロネタ、醜聞、噂にゃ目がなくて
思考停止と右へならえできている始末です
がんばった人にも、たまにはマイクを向けましょうね
夢のあるネタを届けましょう

胸いっぱい時代の風を吸い込む頃がある
こんなに汚れた都会の空気を有り難がっていた
いくつになっても未熟な自分を愛しく思ってる
そんな大人が幼い我が子に道を説いている
誰かにもらった自由を疑う事はなく
知らず知らずうちホロホロリ

人間同士も深入りするとロクなことはない
下手に誤解や裏切りなんぞを被る筋はない
人の絆はつかず離れず希薄なほうがいい
その他大勢の群に紛れて幸福(しあわせ)掴みたい
歩みの遅い者を尻目に駆け抜けりゃ
友は泣き笑いホロホロリ

浮気をするならバレなきゃいいわと笑って妻は言う
このごろ帰りが遅くなったと気遣う振りをする
満員電車のビショ濡れ窓から我が家の屋根を見て
今夜のために昨夜(ゆうべ)と違った言い訳探してる
誰も知らない居場所が欲しいそれなのに
愛をブラ下げてホロホロリ

情に流せば弱気な態度と傍(はた)からなじられて
腹から怒鳴ると変わり者だと嗚呼避けられる
頭を下げればその場はなんとか凌げるが
見て見ぬ振りすりゃ自分がなんだか惨めになってくる
他人(ひと)の視線と自分の評価にうろたえりゃ
春は柳さえユラユラリ

母さんあなたが歌ってくれた小唄が懐かしい
この世に生まれこの世で見たのは時代(とき)の流れだけ
未来世紀も人間(ひと)の心はうつろい易いだろう
こんなアジアの片隅なんかにしがみつきながら
もう背伸びをしようなんて言わないが
せめて泣かせてよホロホロリ
夢を捨てられずホロホロリ