35. 完了と未完了  その2    ( 2006年 1月 9日 )

新年、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今年初の「SYP友の会」の更新です。

未完了を完了するとは、「気がかり」をなくしていくということです。
それは、「やるべきこと」や「やらなくてはならないこと」を
一つずつ、つぶしていく作業から始まり
「妥協していたこと」や「あきらめていたこと」を思い出し
そして、それに着手することへと発展します。
更には、夢や希望を取り戻すことまで含まれていると思います。

「完了」に関して、作家の村上春樹さんは、こう表現しました。
「うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に、
救済された自分を発見することができるかもしれない。
そしてその時、象は平原に還り
僕はより美しい言葉で世界を語り始めるだろう」

山梨新報 極超短波 より

 日ごろ、音信のない知人たちだが年賀状だけは届き、
年に一度消息確認作業が行われる。
子どもが大学生になった、就職・結婚したというたぐいの
添え書きが多いのが例年だが、今年は「定年退職」という文字が目立った。
 早期退職制度で辞める者、残りわずかな在職期間に
思いをはせる者などさまざまだが、いずれも戦後間もない時期の、
いわゆるベビーブームのころ生を受け、経済成長もオイルショックもバブルも経験し、
いわば日本経済の光と影とともに生きてきた「団塊の世代」だ。
 この呼び名の命名者であるといわれる作家の堺屋太一氏によると、
この世代は苦手なことがあると頑張って得意にするように教育されたため、
嫌いな時間を過ごす我慢強さが身に付き、それが高度成長期の大きな力になったそうだ。
 反面、自分の好きなことや関心のあることから目をそらされた教育によって、
好きなことを忘れていき、大学を卒業する時には自分の本当に好きなことが
分からなくなった世代でもあるそうだ。
異論もあろうが「団塊」の一人としてはうなづける面もある。
 そんな「働き蜂」たちが来年から3年間で700万人も退職していくという。
いわゆる「2007年問題」だ。
もともとはIT業界における、現場を熟知したIT専門家の
大量定年退職問題が発端だが、さまざまな分野で同様な現象を
危惧する声が高まり、対策に追われている。
 伊勢神宮で20年ごとに神殿を造営し神体を移す式年遷宮祭の最大の目的は、
宮大工の技術の継承にあるともいわれる。
人数が多いだけに激しい競争を強いられながら蓄積された
「団塊」の経験、技術、知識、意欲には、まだまだ活用の分野がありそうだ。
 亭主不在を謳歌してきた家族を「在宅ストレス症候群」に陥れぬためにも、
忘れていた「好きなこと」を思い出して第2ステージを設計しようではないか、ご同輩!