42. リスニング スキル  その2  ( 2006年 3月11日 )

人間関係のあらゆる場面で傾聴は効果を発揮します。
でも、傾聴が大事だと口で言うことは簡単ですが、実行することは難しいです。
私たちは聞いている気になっていたり、聞いているつもりになっていることが多く
本当の意味での傾聴を実行することは本当に難しいことです。
自分の都合のいいように聞いていたり、自分の価値観に照らし合わせて
人の話を聞く癖がついているため、結果的には親切の押し売りをしたり、
上からの目線で相手には不必要な(場合によっては迷惑な)アドバイスをしがちです。
すぐに評価や判断をしてしまったり、比較してしまったり、
自分のパターンや癖から抜け出すことは、とても難しいことです。
コーチングでは、「質問」を使い相手の「気づき」をサポートしますが、
「質問」と「探り」を混同してしまうと、逆効果になってしまいます。
「探り」は、多くの場合、相手をコントロールする意図が含まれています。

朝日新聞 生活欄 ひととき より 

「来なかった年賀状 」   

 あの日から、もう10年近くたっている。
年賀状を用意する頃になると思い出す。彼女は元気なのだろうか。
 10月のある日、中学時代の友人に久しぶりに電話した。
「最近どう?」と聞くと、「12月に結婚する」という答え。
「相手の趣味は?」「旅行やアウトドア」(えっ?あなたはインドアじゃないの?)
「どこに住むの?」「Sっていうところ。駅から遠くてバスに乗るの」
(海に近いところでしょ。潮風が嫌いって言ってたじゃない。
都会的だったあなたが田舎に住めるの?)
心の中では、疑念の気持ちでいっぱいになっていた。
 話を続けても彼女と婚約者の共通点が見つからない。
その後で「大丈夫?」というようなことを言ったと思う。
披露宴に招かれているわけではないので、結婚後に年賀状をもらってから
お祝いを贈ればよいと思って、何となく気まずい雰囲気の中、電話を切った。
 翌年、彼女から年賀状はこなかった。
新しい名字も、どんな生活をしているかも知らない。
私は彼女を傷つけてしまったらしい。
 あの時、何も聞かずに素直に「おめでとう!お祝いは何がいい?」
と言えば良かったのだろうか。いまだに自問自答している。
そして私は今年、結婚20年を迎えた。