54. 春の職場を円滑に    ( 2007年 4月 1日 )

4月は新入社員の迎え入れ、異動の時期など人間関係に悩む方も多くなる時期です。

手前味噌になってしまい恐縮ですが
二年前の山梨日日新聞に掲載された私の記事を紹介します。
このページをご覧の方で山梨県内の方は少ないと思いますが
3月29日(木)NHK総合テレビ「まるごと山梨」に私が10分ほど出演し
同じような内容(上司と部下との人間関係に関するヒント)を紹介しました。

人事異動の春。各職場には新入社員も加わり、新しい顔ぶれで新年度がスタートした。
心機一転して仕事に取り組むためにも、職場環境は大事。
企業の社員研修などを行うSYPシステム講師の内田和俊さんに
コミュニケーションのヒントを聞いた。

Q:職場内で陥りやすいコミュニケーションの失敗は。
A:親子もそうですが、関係が近いほど「言わなくても分かるだろう」という気持ちから
  ズレが生じがち。その繰り返しが、あきらめや怒りなどのマイナス感情を招きます。
  「上司は人の話を聞かない」「同僚は気分屋だ」など、人は被害者になったとき
  非常に敏感に反応します。でもそんなときには、自分が同じことをしていないか
  視点を変えてみることも必要です。
  すれ違いがあると、人は自分の正当性を主張したがりますが、コミュニケーションは
  勝ち負けではありません。大切なのは相手に意図をどう伝えたかではなく、
  どう伝わったか。勝敗にこだわっている限り、関係は改善しません。

Q:コミュニケーションを円滑にするには。
A:結論を急ぐ上司に経過から説明したり、指示を待つ部下にとにかく行動を求めても
  うまくいかないように、相手のペースに合わせるペーシングが大切。
  同じ状態にあると人は本能的に安心できます。
  ペースを見極めるにはまず相手の話に共感し、よく聞くことですが、
  これが簡単なようで難しい。例えば親が子の悩みを聞いているうちに説教モードに
  入っていることも多いのでは。これでは相手は心を閉ざしてしまいます。
  ペーシングの具体的な方法は①趣味などの共通の話題を見つける
  ②座っている人には座って対応するなど目線を合わせる
  ③思考回路や物事へのアプローチ方法を合わせる など。
  ただし「迎合」とは違います。

Q:相手を伸ばすしかり方は。
A:感情のはけ口にしたり保身のために怒るのと、相手の成長を願ってしかるのとでは
  大きく違います。部下の失敗に対して、上司は経験やプライドが邪魔して
  上からものを言ったり価値観を押しつけがちですが、
  ①相手とどういう関係を築きたいのかというビジョンを持つ
  ②対等な人間として接することを常に意識していれば、カーッとなるのを防げるはずです。

Q:具体的には。
A:トラブルの原因を尋ねるにも「なぜ(why)」ではなく、「なに(what)」
  や「どんなふうに(how)」で聞いてみてください。
  「なぜできないのか」では相手を責めるようで委縮させますが、
  「何か問題があったのか」なら答えを引き出しやすい。自発的な解決を促せます。
  さらにメッセージは「あなた」ではなく、「私」を主語に伝えるといい。
  「あなたは部下に信頼されてないね」では、断定的で反発を招きかねませんが
  「私には、その(部下から信頼されていない)ように見えるが」なら
  反応に展開が期待できます。

Q:効果的な褒め方は。
A:「褒める」と「承認」は違います。前者は上から下の立場への行為ですが、
  後者は上下関係はなく、相手のありのままを認めることです。
  頑張ったが成果を出せなかった部下は、褒められなくても認めることはできる。
  認められた人は安心感や達成感を得られ、結果的にはモチベーションも上がるはずです。
  相手を変えようとするのではなく自分の考え方を変えてみると、変化が表れるはず。
  まずは行動してみてください。