59. 止まって観る その3 ( 2008年 5月11日 )
先々月の3月は大切な人が亡くなったり、最愛のペットが死んでしまったりと、
辛いことばかりが起き、ここ数ヶ月は不眠が続くなど、なかなか立ち直れず、
改めて自分は精神的に弱い人間なんだなということを知る機会になりました。
3月に亡くなった大切な人とは、私の和太鼓の師匠です。
改めて自分は精神的に弱い人間なんだなということを知る機会になりました。
3月に亡くなった大切な人とは、私の和太鼓の師匠です。
当時、高校生だった私が最も荒れていた時期に拾ってもらい、
たくさんの愛情を注いでいただき、また厳しく育ててくださった人です。
亡くなる数日前に、電話で話をしていたのですが、
そのときは、いつものように、とても明るく元気な声でした。
今年は久しぶりに夏祭りで会いましょうという約束までしていたのに‥‥。
45歳という若さでの突然死でした。
いまだに信じられません。
「あっ、内田君!」と、いつものように元気な声で
電話がかかってくるような気がして仕方ありません。
また、ペットの死に関しても反省と後悔ばかりが残り喪失感が癒えるのには、まだしばらく時間がかかりそうです。
改めて日常の何気ない平凡なことが、一番幸せなんだなと感じています。
朝日新聞 生活欄 ひととき より
赤いチューリップ 岐阜県養老町 小林紀美代さん 主婦 74歳
今の自宅に落ち着いて50年。
手作りの庭には、折に触れて買ったり、友人から分けてもらったりした
様々な花が1年を通して咲くが、やはり春が一番美しい。
ロウバイ、マンサク、梅に続いて桜が咲き、少し遅れてチューリップの季節になる。
大きな木に咲く花から、スミレのように足元にひっそりと咲く花まで、
いとおしんで育ててきた。
昨年4月、桜が少し散り始めた宵、夫が75年の生涯を閉じた。
出棺の朝、長女が庭から赤いチューリップを切ってきてくれて、
ほかの花と一緒にひつぎに入れた。
悲しむ暇もなく一人暮らしが始まり、役所や金融機関の手続きなど、
慣れない仕事に走り回った。
それまで金銭の管理はみんな夫がやってきたので、
「ねー、これどこの印鑑?」といつものように聞いてしまい、はっとした。
一人で戸惑い苦労しても、「よく頑張ったね」と声をかけてくれる夫は、
もういないのだ。
結婚して50年、大切な人としていつも横にいた夫。
話の中で意見が合わない時もあったが、「福寿草が咲いたよ」とか
「寒いね」とか、何げない日々の会話ができたことが本当の幸せだった、
と今しみじみと感じている。
夫の死から1年。
赤いチューリップがまた、春の風に揺れている。
朝日新聞 生活欄 ひととき より
赤いチューリップ 岐阜県養老町 小林紀美代さん 主婦 74歳
今の自宅に落ち着いて50年。
手作りの庭には、折に触れて買ったり、友人から分けてもらったりした
様々な花が1年を通して咲くが、やはり春が一番美しい。
ロウバイ、マンサク、梅に続いて桜が咲き、少し遅れてチューリップの季節になる。
大きな木に咲く花から、スミレのように足元にひっそりと咲く花まで、
いとおしんで育ててきた。
昨年4月、桜が少し散り始めた宵、夫が75年の生涯を閉じた。
出棺の朝、長女が庭から赤いチューリップを切ってきてくれて、
ほかの花と一緒にひつぎに入れた。
悲しむ暇もなく一人暮らしが始まり、役所や金融機関の手続きなど、
慣れない仕事に走り回った。
それまで金銭の管理はみんな夫がやってきたので、
「ねー、これどこの印鑑?」といつものように聞いてしまい、はっとした。
一人で戸惑い苦労しても、「よく頑張ったね」と声をかけてくれる夫は、
もういないのだ。
結婚して50年、大切な人としていつも横にいた夫。
話の中で意見が合わない時もあったが、「福寿草が咲いたよ」とか
「寒いね」とか、何げない日々の会話ができたことが本当の幸せだった、
と今しみじみと感じている。
夫の死から1年。
赤いチューリップがまた、春の風に揺れている。