~ここはスペイン~



俺は2年振りのスペインに戻ってきた。



あの頃と変わらず
芸術的な町並みが心を癒やした。
東京みたいに
セカセカしてない所が好きだった。




日本から離れると
仕事に追われている日本が
なんてつまらない
小さな国なんだと思うのだ。
住むには東京よりも
いいかもしれない‥‥




プジョル「潤、旅も疲れただろう?
 もうすぐ家だ。
マリアが楽しみに待ってるよ」



マリアとは、
プジョルの奥さんだ。
留学した時もホントに世話になった。
取りあえず、
プジョルの家で世話になり
最終的には金貯めて
独り暮らしの予定なのだ。



プジョル「ただいま!
マリア、潤が帰って来たぞ」



マリア「潤!おかえりー!」



マリアはいきなり抱きつき、
涙をにじませていた。
二人には子どもがなく2人暮らしで
俺の事を可愛がってくれていた。




潤「マリア、ただいま」




マリア「おかえり!
また少し見ないうちに
逞しく なったわね!」




潤「そぉ?まだまだ
スペインじゃ通用しないよ」




マリア「そんな事ないわ!
さぁ、荷物置いてゆっくりしなさいね」




潤「ありがと。
 でも…
久しぶりに町を眺めてきたいんだ」




マリア「あなたの好きにしなさい笑」




潤「サンキュ、マリア!」




俺は荷物を置くなり、
街にくり出した。



見慣れた街並みは
なぜか心が和んだ‥‥
2年前は
帰りたい気持ちが強かったのに
不思議とここが‥‥
居心地のいい場所になっていた。




知らぬ間に‥‥
ここは俺の中で
第二の故郷になっていた‥‥




夕陽が沈む頃
『あの高台』へやって来た。
俺の好きだった場所‥‥
親父も好きだった場所‥‥
相変わらず
最高の眺めだった。




潤「超~気持ちいい~!」




‥‥また‥‥
戻って来ちまったな‥‥




またここに来るとは
思ってもみなかった。




もう‥‥学生じゃない‥‥
2部でもプロなんだ。
プロ意識を持って取り組んで
目指すは‥‥
バルセロナトップチーム昇格。




日本人だって
海外サッカーに通用するんだって事を
絶対に見せつけてやるんだ‥‥




そして‥‥日本代表になって‥‥
上位ランクインを目指すんだ!




そしたら‥‥



‥‥必ず真央を迎えに行くから‥‥





待っててくれ‥‥





‥‥俺は



この場所で‥‥


あの夕陽に‥‥


改めて誓ったのだった‥‥




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