追浜までドライブ。
昨年10月に予科練跡地を歩いて以来の横須賀海軍航空隊っス。
今回は夏島と野島を散歩してきました。


$海とひこうき雲
夏島。蒼い空♪


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明治憲法起草の碑。
機密保持のため当時は孤島だった夏島が憲法の起草地にえらばれた。





夏島はもともと東京湾に浮かぶ島でした。

明治時代前期に陸軍が夏島を買収、伊藤博文の別荘が建てられ、1887年(明治20年)夏には大日本帝国憲法の草稿が作られました。大正に入ると周辺が埋め立てられ陸続きとなり、横須賀海軍航空隊の基地となります。

終戦後はアメリカ軍に接収されましたが、1972年に返還されました。返還後は一帯が工業地として整備され、日産自動車追浜工場や住友重機械工業横須賀製造所などが立地しています。

島には日本最古級の貝塚があり、島全体が国の史跡に指定されています。
…が、すごいのは山の内部には多層構造の地下壕が迷路のように掘削されていて、地下壕部分は最大のもので幅20m、高さ8mもあるそうです。壕の全長は約1800mにもなると言われています。3層構造の壕で、第1層は海軍追浜航空隊の「零戦」やロケット戦闘機「秋水」の格納のために設営されたのではないかと言われているそうです。

さらに頂上には弾薬庫等の建造物や海軍の石柱、偵察用の鉄塔がそのまま残っているようです。ん~暗い穴とかにがてなんで(笑)壕にもぐりたくはないが、頂上にのぼってみたいっス。

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↑秋水、何気にかわいいと思うんですけど…(^^)
秋水(しゅうすい)は太平洋戦争中に日本がドイツ空軍のメッサーシュミット Me163の資料を基に開発を目指したロケット推進戦闘機である。機体は海軍、エンジンは陸軍が担当、陸海軍共同して開発研究した。正式名称は十九試局地戦闘機秋水、海軍の機種番号はJ8M、陸軍のキ番号はキ-200。

1945年(昭和20年)7月7日、横須賀海軍航空隊追浜飛行場で秋水は試飛行を迎えましたが失敗に終わり現在の横須賀市立北図書館付近に不時着大破しています。







↓夏島の地下壕はこんな感じで掘られているらしい。びっくりっスね…
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↑野島からみた夏島。
この山のなかに、迷路のような地下壕があるとはねぇ。






つぎに野島へやってきました。


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野島。

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巨大な掩体壕(隧道式格納庫)が口を開けています。



野島は、金沢区(横浜市)の平潟湾に浮かぶ島で、横須賀海軍航空隊があった場所とは水路をはさんで隣り合っています。

島には巨大な掩体壕があり、野島山の下を貫いています。
この掩体壕は横須賀海軍航空隊基地の航空機を空襲から守る施設として建設され、計画では海軍の小型機100機を格納する予定でしたが、終戦により実際に使用されることはありませんでした。別の資料では飛行艇格納庫として造られた、ともあります。
 この掩体壕は、野島山の東西を貫通しており、全長は260m、両出口はコンクリートが打設されています。通常の掩体壕は戦闘機1機を格納する程度の大きさが一般的ですが、野島掩体壕は現存する掩体壕の中でも国内最大規模のものといわれています。
 
この掩体壕を施設した「横須賀海軍第300設営隊」は、横須賀海軍施設部第一部隊を改編した部隊で、海軍の将兵に技術者を加えた精鋭部隊で、横浜市港北区日吉台の旧日本海軍連合艦隊司令部地下壕や長野県松代町の松代大本営地下壕などの建設にも加わっていました。(横浜市設置の説明板より抜粋)

「予科練一代」大多和達也著や「回想の横空夜戦隊」黒鳥四朗著を読むと、居室として野島の壕を使ってた記述がでてきます。掩体壕としては使用されずに終戦を迎えたが、防空壕を兼ねた居室としては使ってたのだろう。八畳間の部屋にベッドやタンスが置いてあったらしい。

野島は「横須賀海軍航空隊始末記」神田恭一 著 にも何回か登場。
野島の掘削工事で落盤が起き、予科練習生が2人犠牲になり、鉈切山の地下病室に運ばれたという。



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↑昭和25年の地図。赤い部分が掩体壕。野島の右側(南東)に位置する夏島(飛行場があった)とは陸続きになっています。「予科練一代」大多和達也著では、玉音放送を聴き終え脱力し飛行場を突っ切って野島の横穴壕へ帰る大多和氏の様子が描かれています。。
現在は、野島水路によって野島と夏島は完全に分離されてしまっています。


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↑掩体壕の反対側(西側)。草が繁茂して全くわかりにくいですが、東側とは形が違います。

↓横浜市の設置した説明版には工事中の様子が。
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↑野島の頂上は気持ちのいい広場になっております♪

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↑日産追浜工場。右上の端っこが貝山緑地。その左の麓がかつて予科練があった場所。

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↑かつて横須賀海軍航空隊があったあたりは、現在は日産のテストコースや日産追浜工場の建物でびっしり埋められております。海軍航空のメッカであったこの場所では、日産リーフなどが造られています。



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記事の中の図は、とのたまさんの「Digital Artworks TeeART Blog.」からお借りしました。
参考させていただいたサイト:「Digital Artworks TeeART Blog.」「かねさはの歴史」「秋水(しゅうすい)プロジェクト のホームページ」「空港探索・2」「イトシノヨコスカ」「War Ruins in Kanagawa」




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