台湾の「裏切り者」とは
嘗ては独立支持者で反国民党
台湾の立法院の混乱が中国の指示を受けた国民党と、
それに協力した民衆党の”議会クーデター”(台湾メディア)であることは
多くの有権者の認識となった。
台湾では今、両党に対する非難と同じかそれ以上の非難がある議員に
集中している。
今回の騒動で最も非難されているのが民衆党の黄国昌立法委員51歳である。
黄氏は大学時代から台湾独立派として、様々な運動に参加した。
なかでも2013年の「ひまわり学生運動」では主導的な立場で、
「反中」「反国民党」を掲げて、注目を集めた。
運動後に結成された政党「時代力量」では党主席を務めて立法院選挙に当選、
2016年の総統選挙では蔡英文候補を支持した。
ところが翌年、党内論争から黄氏のリコールが起き、不成立となったものの、
黄氏は党主席を辞任した。
2023年1月、黄氏の親族が国有地を不正使用している疑惑が浮上、
その際、黄氏も土地所有を申請していたが、取り下げたため不問に付された。
同年11月、黄氏は突然時代力量を離党、
柯文哲党首の民衆党に入党、今回の選挙で立法委員に当選した。
そして、かつて敵とまで言った国民党と手を組んで、民進党政権の権力を
削ごうと「国会改革法案」の成立に邁進している。
黄氏の言動を変節と見た学生市民は、デモで黄氏を「台湾の裏切り者」として、
激しく糾弾した。高校生や大学生からは「騙された」「ああいう人間にはならない」
などと落胆の声が多く出ている。
これに対して黄氏は国会内(立法院)から混乱の様子を生配信し、
「飽きたら私の笑顔をご覧ください」とコメントして、デモ隊を挑発した。
それでも不安を感じたのか、24日の夜は早めに国会を抜け出し、
警察官に守られながら姿を消した。
デモ隊は、国会が再開される28日に再び、大規模な抗議集会を開く。