スロバキア首相銃撃で欧州緊張
EU内の親ロシア、ハンガリーも
中部ヨーロッパのスロバキアで昨日、
ロベルト・フィツォ首相が、地方で行われた会議に出席後、
屋外で支持者と話をしている最中に銃撃され、意識不明の重体となった。
フィツォ首相59歳は、元共産党員でこれまでプーチン支持を公言し、
昨年9月の選挙で勝利した直後にウクライナへの武器支援を停止した。
さらに、ウクライナ支援国を「戦争屋」と呼ぶなど
ハンガリーのオルバン首相と共に、EU内でロシアを支持している。
フィツォ首相はまた、LGBT運動を罵る発言を繰り返して、
人権活動家などから批判されていた。
(事件直後の現場の様子)
フィツォ首相は、車で首都のブラチスラバに搬送されようとしたが、
意識不明になったため、急遽ヘリで近くの病院に運ばれた。
現地メディアは、銃を発砲した71歳の男の身柄を確保したと伝えたが、
動悸などは分かっていない。
BBCや仏通信社は、フィツォ首相はこれまでも大規模な汚職に関与したり、
「プーチン大統領がスロバキアに来ても戦争犯罪人として、逮捕されることはない」と
述べるなど、プーチンを擁護してきたと伝えた。
さらに去年の選挙では、ロシアの介入があったと疑われているとも報じている。
スロバキアでは、今年4月の大統領選挙でもロシア支持を表明する
ピョートル・ペレグリー二候補が当選したが、この時もロシアの介入が指摘されていた。
スロバキア国内では、選挙結果に疑問を抱く市民やウクライナ支持者による
抗議デモが度々起きていて、首相銃撃事件はこのような緊迫した状況下で起きた。
中部ヨーロッパでは、ハンガリーもオルバン首相がウクライナ支援に反対を表明し、
民主派と対立を深めている。両国はエネルギーの大半をロシアに依存しているが、
それ以上に、旧共産党勢力が残存していると言われている。
ロシアのウクライナ侵略が、欧州に政治的緊張を産みだしていることは間違いない。