習近平を歓迎しない欧州
5年前とは一変、仏メディア「赤絨毯は人民の血」
フランスと中国は今年国交樹立60年を迎えた。
西側主要国でいち早く中華人民共和国(共産党)を認めたのがフランスで、
これは冷戦が進行した当時、「歴史的な事件」とまで言われた。
米国一極支配に反発した毛沢東とドゴールの思惑が一致した結果だった。
5年ぶりのフランス、満を持しての訪問だった。
ところがフランスは雨以上に冷たかった。
5年前、歓迎の人波があったシャンゼリゼ通りは閑散として、
中国国旗を持った中国人の2グループがいるだけだった。
空港からパリ市内に通ずる道路の至る所には、
チベットやウイグルでの虐殺に抗議する横断幕が掲げられた。
パリ市内の共和国広場には、
弾圧や虐殺に抗議する人々が欧州各地から大勢集まり、
「習近平はもう終わりだ」と叫んだ。
雨より習近平に冷たかったのがフランスのメディアだ。
テレビLCIの記者は、習近平の為に空港に敷かれたレッドカーペットを
「共産党によって殺された人民の血の川のように見える」とコメントした。
他の欧州メディアは、「フランスメディアがこんなに冷たいとは」と報じた。
国境なき記者団は、中国が拘束している119人の記者を直ちに解放するよう
アピールした。
習近平と会談したEUのフォンデアライエン委員長(右)は、
*EUと中国の経済関係は正常とはいえない
*中国は多額の補助金を付けて製品をEUに輸出している
*EUの港の埠頭には、膨大な電気自動車が滞留している
*こうした結果、EUは毎年巨額の貿易赤字を出している として
「我々は公正を求めて行動する用意がある」と中国に貿易不均衡の是正を要求した。
さらに、
「ロシアに手を差し伸べるのではなく、ウクライナ侵略を止めさせるよう働きかける
べきだ」と直言した。
フランスと中国はパリ五輪中、ウクライナ戦争の休戦で合意、
中国はロシアに武器売却は行わないと表明した。
会談が行われたエリゼ宮の外では、デモ隊が
「早くフランスから出て行って」とシュプレヒコールを上げた。
習近平はこのあとセルビアとハンガリーを訪問する。
中国は両国の首都を結ぶ高速鉄道建設を受注している。